こんにちは、お金のよろず屋管理人のうーざんです。
本日はFXこと、「外国為替証拠金取引」の税金の仕組みについてお話していきたいと思います。
「FXで損をしたから確定申告はしなくていいや」
と思っているそこのあなた、めちゃくちゃ損をしているかもしれませんよ。
本日はFXの税金の仕組みについて、現役会計事務所職員である筆者がやさしく解説していきたいと思います。
尚、そもそもFXの仕組みがよくわからないよ
という方は、こちらの記事で詳しく解説していますのでまずはこちらをご確認ください。
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この記事の目次
申告分離課税とは
FXの税金は「申告分離課税」という方法によって税金を計算します。
税率は所得税・住民税をあわせて20.315%となります。
何やらいきなり専門用語が出て難しそうですね(笑)
大丈夫です。難しくはありませんので。
「申告分離課税」という言葉を分解してみましょう。
「申告」と「分離」と「課税」という単語にばらせますね。
以下でひとつずつ意味をみていきましょう。
申告分離課税の「申告」の意味
「申告」というのは「確定申告」の申告です。
税金にはたくさんの種類があります。
個人の収入(所得)に課される税金には「所得税」と「住民税」があります。
そのなかの「所得税」にはなんと10種類もの「所得」があり、それぞれに税金の計算方法が定められています。
代表的な所得は給料をもらった場合の「給与所得」や、自営業の方の「事業所得」、家賃収入や地代収入がある場合の「不動産所得」、副業や年金などの収入がある場合の「雑所得」、
銀行の利息収入などに課せられる「利子所得」、株式の配当などを受取った場合の「配当所得」
といったところでしょうか。
他の所得は「退職所得」、「譲渡所得」、「一時所得」、「山林所得」があり、これで計10種類です。
これらのなかには「確定申告」をしなければならない所得と、しなくてもよい所得があります。
たとえば給料をもらった場合、基本的に受取時にすでに税金が引かれていると思います。これを「源泉徴収」といい、源泉徴収によってすでに税金を納めていることになるため「確定申告」は不要となります。
また同じように、銀行の利息(今は雀の涙ほどもありませんが・・・)についても入金される際にすでに税金が「源泉徴収」されているため「確定申告」は不要となっています。
一方で、自営業の方や不動産をお持ちの方は、ご自分で収入と経費を計算して確定申告を行い税金を納付されていることと思います。
これは「事業所得」や「不動産所得」は確定申告が必要とされているためです。
ではなぜ、確定申告が必要な所得と不要な所得があるのでしょうか?
これは「納税者(税金を納める人)側」と「税務署側」の両方の手間を省くためです。
給料や利子の税金の計算はカンタンです。基本的に収入を得るための経費は存在せず、
収入に対し一定の税率をかけるだけで計算できるためわざわざ確定申告してもらう必要がないからです。
一方で事業や不動産にかかる所得というのは「収入」や「経費」がその人によってまったく異なるため、自分で申告してもらわないと税務署側では把握できないため
「確定申告」という制度により申告をしてもらうこととなっているのです。
前置きが長くなりましたが、
FXの税金は「申告」とついているため「確定申告」が必要
ということです。
申告分離課税の「分離」の意味
続いては申告分離課税の「分離」の意味についてです。
所得税のなかには
他の所得と合算して税金を計算する「総合課税」によって課税されるものと、
他の所得とは切り離して単独で税金を計算する「分離課税」の所得が存在します。
原則はその年に生じたすべての所得を合計して税金を計算する「総合課税」で計算することになりますが、
例えば「退職金」や「土地や建物などの譲渡」の所得などは、様々な配慮から「分離課税」で計算することとされています。
日本の所得税率は、
所得が高くなるにつれて税率が高くなる「超過累進課税制度」
をとっているために、このような多額の臨時収入があった年だけ、税率が著しく高くなってしまうことを防ぐために「分離課税」によって税金を計算するのです。
他にも家計の「投資」を促すために株式などの売買にかかる所得などが「分離課税」とされているなど、分離課税の所得には何らかの政策的な意図や配慮があって
例外的に「分離課税」とされているのです。
FXは「申告分離」課税ですので、
確定申告をしなければいけないけれど、他の所得とは切り離して税金を計算する
ことになります。
ちなみに銀行の利息などのように確定申告も不要な「分離課税」のことを「源泉分離課税」といいます。
FXの課税区分
FXは「先物取引に係る雑所得等」という所得区分で課税を受けることになります。
この「先物取引に係る雑所得等」には税制上の特例があり、確定申告を行うことでその恩恵を受けることができます。
恩恵は以下の通りです。
- 他の先物取引の利益や損失をFXの利益や損失と相殺できる
- 上記の相殺後でも損失が生じていた場合には、翌年以降3年分の利益と相殺することができる
他の先物取引とは、例えば「日経平均先物」のようなFX以外の先物取引や複数の取引会社でFX口座を開設している場合などに
それぞれの利益と損失を相殺できるという制度になります。
翌年以降3年分の利益と相殺することができますが、その場合には損失が出た年から控除する年まで連続して確定申告をしていること(つまり毎年確定申告していること)が要件になりますのでご注意ください。
そのため、損失が出た場合でも必ず確定申告はしておくようにしましょう。
申告分離課税のメリット・デメリット
申告分離課税のメリット
では、申告分離課税のメリットとはどんなものでしょうか?
それは、
他の所得とは切り離して税金を計算するため、会社員や事業などを行っている人などは税金が安くなる可能性がある
ということに尽きます。
どういうことでしょうか?
例えば、給与で年収1千万円の方の場合、
所得税と住民税を合わせた税率は33%(所得税23%・住民税10%)となります。
その方が仮に土地を持っていて月5万円(年間60万円)で貸し出したとすると、この地代収入に掛かる税金は約20万円です(経費は固定資産税くらいですが考慮していません)。
不動産所得は給料などと合算して計算する「総合課税」であることから、給料と同じ43%の税率で税金が計算されるからです。
一方、同じ方がFXで年間60万円の利益を上げた場合、
税金は 60万円 × 20.315% で 約12万円
となります。
このようにFX以外に給料や不動産、事業などの所得がある方は
分離課税によってFXの税率が低く抑えられることがあるためこの点が申告分離課税のメリットといえます。
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申告分離課税のデメリット
長所の裏返しは短所、メリットの裏返しはデメリットです。
給料や家賃、事業などの収入がある方は申告分離課税によって得をすることがありますが、
一方で主婦の方など他に所得がない方がFXをやった場合、働きに出て給料を貰うよりも高い税率で税金がかかってしまう可能性があります。
この点は所得が高い人も低い人も一律で税率が決まっている「申告分離課税」のデメリットといえます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
FXは利益が出たら確定申告をすることはもちろんですが、
損失が出ても必ず確定申告をしておかないと後に利益が出たときに損をしてしまうことになります。
尚、会社員の方は利益が20万円以下であれば原則として所得税の確定申告は不要とされていますが、この点にも注意が必要です。
それについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでこちらもあわせてご確認ください。
最後までお付き合いありがとうございました。
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