【死角なし?】ロボアド(AI)投資のデメリットを元銀行員が解説

こんにちは、お金のよろず屋管理人のうーざんです。

新型コロナウイルス感染症による世界的な株安や、外出自粛などによって家で過ごす時間が増えたこと、また今回のことを機に生き方や貯蓄のあり方について考えた方も多いのではないでしょうか。

こうした影響のためか、ネット系証券会社の口座開設数が過去最高のペースで増えているそうです。

そこで今回は、AIが最適な投資対象へ分散投資を行ってくれるため、初心者でも取り組みやすく「積立・分散」という投資の必勝パターンを無理なく実現できる「ロボアドバイザー投資」について、

そのメリットやデメリットを元銀行員である筆者が解説していきたいと思います。

この記事の目次

ロボアドバイザー投資とは

「ロボアドバイザー投資」とは、AI(ロボット)が運用に関する助言や、運用そのものを自動で行ってくれる投資の形態のことをいいます。

投資対象はサービスによって異なりますが、概ね世界中の「ETF」といわれる上場投資信託を購入するものが多いです。

投資信託自体が分散投資を行うための商品ですが、こうした「ロボアドバイザー投資」ではさらに世界中の投資信託を複数購入することで、リスク分散を図っています。

「ロボアドバイザー投資」には大きくわけて、

  • アドバイス型
  • 投資一任型

の2つがあります。

「アドバイス型」というのは、簡単なアンケートに答えていくことでその方の年齢や家族構成、投資方針などから「最適な投資対象とその配分」をアドバイスしてくれる

というものです。

一方「投資一任型」というのは、アドバイス型と同じようにアンケートに答えていくのですが、その結果最適な投資対象への投資をロボットが自動で行ってくれる

という「完全お任せ型」の投資スタイルになります。

「投資一任型」では購入や売却もすべてロボットが自動で行ってくれます。

ロボアドバイザー投資で有名なWealthNaviTHEOというサービスでは、ノーベル賞受賞者の提唱する理論に基づいて投資判断が行われるため、「投資って難しそう・・・」という不安をお持ちの投資初心者の方でも始めやすいサービスといえます。

WealthNaviTHEOについては、【2020年最新】ロボアド2強 THEOとウェルスナビを徹底比較してみたという記事で詳しく解説していますのでこちらも確認してみてください。

尚、「投資信託って聞いたことはあるけど、仕組みがよくわからない」という方は、こちらの記事で詳しく解説していますのでこちらもあわせてご確認ください。

≫ 投資信託のメリット・デメリット【株との違いも解説】

ロボアドバイザー投資のメリットとは

知識がなくても始めやすい

ロボアドバイザー投資では、簡単な質問(投資に対する考え方や家族構成などサービスによって異なります)に答えていくだけで、AI(ロボット)が自動的に最適な投資プランを検討してくれます。

投資一任型では積立てた金額を自動的に最適な購入バランスで様々な投資対象に「分散」して投資してくれるため、

初心者でも合理的な投資判断に基づく投資が可能となります。

時間をかけずに投資ができる

自分で投資を行う場合には、相場の確認や経済情勢に関するニュースなどの情報収集、そして実際の購入・売却手続きなど、

どうしてもある程度まとまった時間が必要になります。

こうした手間をロボットに一任できるため、投資にかける時間がなかなかとれない方でも投資をスタートすることが可能です。

低金利で預貯金でお金を遊ばせておくのは勿体無いけど、投資の勉強ができなくてなかなか投資が始められない

という方にはピッタリなサービスといえます。

感情を排除した冷静な投資判断ができる

投資の大敵は人間の「感情」です。

  • 相場が下がると「焦って売りたくなる」
  • 値上がりしても「まだ上がるかもしれない」と思ってなかなか利益確定できない
  • 中長期で保有というスタンスでの投資なのに「暴落時に損切りしたくなる」

これらの例はすべて合理的ではない「感情による判断ミス」を招いてしまいます。

ロボアドバイザー投資では、当然のことながらAI(ロボット)が購入・売却の判断を行ってくれるため、このような「感情」を排した冷静な投資判断が可能となります。

これにより中長期で「勝率の高い」投資判断が可能となるため、投資の鉄則である「長期・分散」投資に非常にマッチした投資だといえます。

逆に短期的に利ザヤを取りに行くような投資スタイルでは、こうした人間の感情を読んで裏をかくようないわゆる「逆張り」的な動きも求められるため、ロボアドバイザー投資はあまり向いていないといえます。

中長期投資で重要な「リバランス」も自動でできる

これは「投資一任型」の特長になりますが、「リバランス」を自動で行ってくれる点も大きなメリットといえます。

「リバランス」というのは、例えば4つの資産A、B、C、Dに25%ずつ均等に投資するとしたときに、

  • Aが値上がりして全体の30%を占めるようになった場合、5%分を売却して25%に戻す

あるいは、

  • Dが値下がりして20%の割合しかなくなった場合、5%買い増して25%に戻す

というような行為のことをいいます。

なぜこのようなことが必要になるかというと、ある資産の投資割合が高くなりすぎると、その資産が大幅に値下がりしたときに資産全体に与える影響が大きくなってしまい

分散投資の効果が薄れてしまうから

です。

分散投資は、通常「株式」と「債券」や、「国内資産」と「海外資産」など互いを補う関係にある資産にバラして行います。

株と債券は、通常一方が値下がりすると一方が値上がりします

国内資産と海外資産は為替の関係により、為替分の損益を相殺してくれます

このように、互いの資産の強みと弱みをうまく活かしてリスクを低減させるのが「分散投資」です。

どれかの資産比率が高くなりすぎると、この補完関係が弱まりリスク低減効果が十分に発揮されなくなってしまうため、中長期の投資においては「リバランス」を適切に行っていくことが重要なのです。

筆者も経験がありますが、「リバランス」はかなり手間と根気がいる作業です。

相場状況や自分の投資資産の状況を確認しながら、適切なタイミングで「リバランス」を行わないとあっという間にバランスが崩れていきます。

これを自動的に行ってくれるのは控えめに言っても「かなりありがたい機能といえます。

※ちなみに例では25%ずつの分散にしましたが、投資方針により必ずしも全資産が均等にはならないケースもたくさんあります

税金最適化まで自動でやってくれる(サービスもある)

ロボアドバイザー投資で代表的なサービスであるWealthNaviTHEO というサービスにおいては、「税金最適化」まで自動で行ってくれます。

税金最適化とは、利益が出ている銘柄と損失が出ている銘柄があった場合に、それらをそれぞれ売買し利益と損失を相殺させることで税負担を軽減させるなど、

AI(ロボット)が最も税負担が少なくなる様取引を行ってくれることをいいます。

投資に関する知識に加えて、税金の仕組みも理解していないとこのような取引を個人で行うことは難しいです。

その点、ロボアドバイザー投資であれば税金のことまでお任せできるので心強いですね。

尚、投資信託の税金の仕組みについてはこちらの記事で詳しく解説していますので、よろしければこちらもあわせてご確認ください。

≫ 株・投資信託の税金の仕組み【確定申告不要を鵜呑みにすると危険!】

ロボアドバイザー投資のデメリットとは

ここまでほぼ完璧にみえる「ロボアドバイザー投資」ですが、デメリットももちろんあります。

年1%程度の手数料がかかる

ロボアドバイザー投資は多くのサービスで年1%程度の手数料がかかります。

簡易なアドバイスをくれるだけのサービスであれば手数料無料でできるものもありますが、そのようなサービスでは、ロボアドバイザー投資のメリットはほとんど享受できず、実質的には自分で運用するのと同じになってしまいます。

ロボアドバイザー投資が最適な「中長期の投資」においては、年1%の手数料というのはけっこう大きいです。

年利1%分が複利で差がついてきますので、20年間の運用で22%、30年間の運用で35%程度運用パフォーマンスに差が出てしまいます。

ただし、ロボアドバイザー投資のような分散投資をしてくれる「ラップ口座」は手数料が2%程度とロボアドバイザー投資よりさらに高くなっています。

人間が運用した方が高くつきますので、この点は当然ですね。

世界の銘柄に分散投資してくれて、リバランスも行ってくれる優良な「投資信託」もあります。このような投資信託のなかには運用中の手数料である「信託報酬」が1%を大きく下回るものもあるので、

時間と知識をお金で買うのであれば「ロボアドバイザー投資」を利用するのもアリですし、ご自分で投資を行う知識と時間がある方は、このような投資信託を購入されるのも良いかもしれません。

NISAなどの対象外

「投資一任型」のロボアドバイザー投資では、ロボットが自動で売買を行うためNISAなどの個人の投資非課税口座が利用できません。

ただし、「アドバイス型」で自分で購入や売却を行うサービスでは、NISAでの購入が可能なものもあります。

投資ででた利益に対しては20.315%(令和2年3月現在)の税金がかかります。

「NISA」や「つみたてNISA」といった個人型の投資用非課税口座では、これらの税金が非課税となります。

これは最終的な運用パフォーマンスに大きな影響を与えかねないため、ロボアドバイザー投資を利用する場合の大きなデメリットといえます。

個人型の投資用非課税口座、NISAについて知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

≫ NISAのメリット・デメリットとは?【元銀行員が解説】

まとめ

ロボアド投資のメリット
  1. 知識がなくても始めやすい(=初心者にオススメ)
  2. 時間をかけずに投資ができる(=会社員など時間をあまり確保できない方にオススメ)
  3. 感情を排した冷静な投資判断が可能
  4. 中長期投資で重要な「リバランス」もお任せできる
  5. 税金の最適化(極小化)までAIがやってくれる(=初心者にオススメ)
ロボアド投資のデメリット
  1. 年1%程度の手数料がかかる
  2. NISA(個人向けの非課税口座)の対象外

ロボアド投資のメリットは、これから投資を始める人や始めたばかりの「投資初心者」、あるいは日中なかなか時間が取れないサラリーマンなどにかなり向いているサービスです。

一方でデメリットもきちんと理解しておくべきです。

近年優良な投資信託が次々発売されており、運用期間中の手数料にあたる「信託報酬」が1%を下回る商品もあります。

このような手数料の低い商品で、なおかつ多数の銘柄に分散投資できる銘柄などもあります。

積立NISAを活用してこうした投資信託へ投資すれば、場合によってはロボアド投資よりもいいパフォーマンスを得ることも可能となります。

ただし「投資信託」を運用しているのは人間のファンドマネジャーです。

AIというのは日々学習し続けるため、人間では予測困難な今回の「コロナ禍」でも安定したパフォーマンスを記録するなど人間では見逃しかねない兆候などもキャッチできる強みが「ロボアド投資」にはあります。

まずは少額でロボアドバイザー投資を始めてみて、AIがどのような売買するのかをみて「投資の勉強」に活用するというのも良いかもしれません。

個人投資大国のアメリカでは、ロボアドバイザー投資がかなり人気を集めているそうです。

人間の証券会社(投資銀行)などの職員は、自らの成績のために商品を勧めてくることがあるけどロボットにはそうした私利私欲がなく、

純粋に投資家の利益を「感情抜き」に判断してくれる

というところが人気の理由のようです。

投資の最大の成功の秘訣は「時間」を味方につけることです。

早く始めればそれだけ「勝率が上がる」可能性が高くなります。

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うーざん
旧帝国大学の経済学部を卒業後、大手地方銀行に就職。法人融資、個人への資産運用アドバイス、相続対策等の業務に従事。 より顧客の近くで仕事をしたいと一念発起し銀行を退職。会計事務所に就職し、お金にまつわる様々な顧客の悩み解決に向け日々活動している。 またファイナンシャルプランナー資格と保険販売資格も保有しており、顧客の保険見直しなどの悩み相談にも乗っている。