在職老齢年金とは【年金を減らさず働くなら給料はいくらまで?】

この記事の目次

はじめに

こんにちは、お金のよろず屋管理人のうーざんです。

働いている方が希望すれば最大65歳まで定年が延長される「高年齢者雇用安定法」が2013年に施行されて7年が経ちます。

そして2021年4月からは定年を70歳に引き上げる努力義務を課す同法の改正案が先日閣議決定されました。

平均寿命が延び「老後」が長くなるなかで、労働者側としても70歳定年となれば希望される方は多いのではないでしょうか。

一方で、現行では年金の受給開始は65歳からです。

そうなると働きながら年金も受給するという方がかなり増えてくるものと思われます。

そこで今回は、働きながら年金も受給する「在職老齢年金制度」についてお話していきたいと思います。

年金を満額受給するなら給料は月いくらまで?

ご存知の方も多いかもしれませんが、年金受給開始年齢になっても給料の額が一定以上あると年金が減額、あるいは完全に支給が停止されます。

では、満額受給するためには給料はいくらまでなら貰っても大丈夫なのでしょうか?

60歳~64歳の場合

今後この年齢で年金を受給するには月々の支給額を減額して「繰上げ受給」するしかありませんが、この場合は

給料と年金の1か月あたりの合計金額が28万円

までであれば満額受給が可能です。

ただしこの場合の給与は直近1年の賞与額を12で割ったものを加えたものとなりますのでご注意ください。

28万円を超えた場合には、超えた金額の半分に相当する年金が減額されることになります。

給与との合計が47万円を超えた場合には超えた金額の年金が減額されることになります。

詳しい計算方法はこちらに掲載されています。

日本年金機構 60歳台前半の在職老齢年金の計算方法

尚、60歳~64歳の在職老齢年金についても満額受給できる金額を47万円まで引き上げる方向で審議が進んでいます。早ければ令和2年の国会会期中に法案が提出されるかもしれません。

65歳以上の場合

65歳以上の場合には、

給料と年金1か月あたりの合計金額が47万円

までであれば満額受給が可能です。

ただしこの場合の給与は直近1年の賞与額を12で割ったものを加えたものとなりますのでご注意ください。

47万円を超えた場合には、超えた金額の2分の1に相当する金額が減額されることになります。

同族会社の役員などの場合にはあえて受取らないことも検討したい

さて、ここからは同族会社の役員の場合の「在職老齢年金」との付き合い方について考えてみたいと思います。

同族会社の役員の方は、そもそも定年などありませんので65歳であろうと70歳であろうと働いていらっしゃる方は大勢いらっしゃいます。80歳でまだまだ現役という方にもちょくちょくお会いします。

こうした同族会社の役員の方の場合、「在職老齢年金」をあえて捨てるということも選択肢のひとつと考えてください。

以下ではその3つの理由について解説していきます。

役員報酬を減らさず退職金をたくさん受取ろう

役員報酬を減らすと退職時に受取る「退職金」が大幅に減ってしまう可能性が高いです。

役員の方の退職金の支給額を算定する際には、一般に「功績倍率法」という方法を用いて計算することが多いのですが、この計算式は

直近の役員報酬の月額 × 勤続年数 × 功績倍率(1.0~3.0倍程度)

というものです。

例えば、直前まで毎月60万円の報酬を取っていた方が年金の受給開始年齢になったために報酬を月20万円まで下げてしまった場合

上記式で算定した退職金の支給額は3分の1に減ってしまいます。

退職金というのは合法的に最も低い税率で多額の金銭を受取る最大のチャンスです(宝くじなどは除きます)。

退職金の税金についてはこちらの記事で詳しく解説しています。よろしければこちらもあわせてご確認ください。

何千万円というお金を場合によっては無税で、あるいは無税に限りなく近い低税率で受け取れる可能性があるのが退職金です。

年金の満額受給のためにこのチャンスを棒に振るのは非常に勿体無いことです。

「損して得とれ」

目先の年金にこだわりすぎて将来の大きな得を逃さないように気をつけてください。

尚、役員の方の退職金の算定方法や税務署に否認されない支給方法についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、是非こちらもあわせてご確認ください。

傷病手当金の恩恵が減ってしまう

役員報酬をある程度取っている方であれば、当然社会保険の被保険者になっていることでしょう。

実は社会保険の健康保険には「傷病手当金」という国民健康保険にはないとても優良な制度があります。

「傷病手当金」とは労働災害に該当しないいわゆる私疾病により仕事4日以上休んだ場合に、健康保険組合から給料の約3分の2を最長1年6ヶ月の間支給してくれるというものです。

この場合の支給額は当然直近の報酬月額がベースになりますので、役員報酬を下げてしまっていた場合少しの金額しか傷病手当金を受給できなくなってしまいます。

もちろんこれはあくまでも病気やケガで会社を休んだ場合にしか受給できないお金ですから、必ず得をする損をするというものではありません。

ですが高齢になってきてリスクが高まったときに不用意に報酬を下げてしまったばっかりに、せっかくの優良な制度の恩恵を受けられなくて後悔しないためにも、役員報酬と年金のどちらを取るべきかもう一度よく考えてみられるとよろしいのではないでしょうか。

70歳まで年金を繰り下げると毎月42%増額される

年金はには「繰下げ受給」という制度があります。

現在は最も遅いところで70歳まで受給を遅らせることができます。

そして70歳まで繰下げしたときの月々の年金額は65歳から受給したときに比べて42%も増額されます!

もちろん、繰り下げてもそのあと何年受け取れるか分からないのだから一刻も早く受取りたいという方もいらっしゃると思います。

その場合でも、先ほどの退職金の支給額の話も含めて一度専門家に相談の上年金受給開始年齢を検討されることをオススメいたします。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

定年70歳延長に向けて世の中は着々と動き始めています。

いざ自分が年金受給開始「可能」年齢になって慌てなくても済むように、今からこの記事をもう一度読み返してシミュレーションしてみてください。

年金も含めた社会保障制度全体を賢くつかって、人生100年時代を生き抜いていきましょう!

最後までお付き合いありがとうございました。

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ABOUT US
うーざん
旧帝国大学の経済学部を卒業後、大手地方銀行に就職。法人融資、個人への資産運用アドバイス、相続対策等の業務に従事。 より顧客の近くで仕事をしたいと一念発起し銀行を退職。会計事務所に就職し、お金にまつわる様々な顧客の悩み解決に向け日々活動している。 またファイナンシャルプランナー資格と保険販売資格も保有しており、顧客の保険見直しなどの悩み相談にも乗っている。