生命保険に相続税はかかるの?みなし相続財産とは【現役会計事務所職員が解説】

この記事の目次

はじめに

こんにちは、お金のよろず屋管理人のうーざんです。

生命保険は「遺産」には含まれない「受取人固有の財産」だから亡くなってからすぐに請求しても受け取れるって聞いたけど、

相続税はかかるような話も聞いたことあるし・・・

一体何がホントなの?

はい、実はそれ両方ホントなんです。

生命保険契約などによる「死亡保険金」は

「みなし相続財産」として相続税の計算対象には含める一方で、

「受取人固有の財産」として遺産分割協議などの対象からは外れます。

もちろん、遺言などで「財産のすべてを〇〇に譲る」というような相続内容となっていても、生命保険金を受取る権利は妨げられませんので、他の財産はさておき生命保険だけは受取ることができます。

基本的には生命保険は、契約を結んでしまえば(受取人を途中で変更しない限りは)その時点で受取人が将来保険金を受取る権利が確定します。

その代わり、相続税の計算対象には含めるよ(だって元々その保険金の出どころは亡くなった方の払った保険料でしょ)

ということになっています。

なんだかややこしいですね。

本日はこの「みなし相続財産」についてお話していきたいと思います。

みなし相続財産とは

そもそも「みなし相続財産」とは何なのでしょうか?

本来の被相続人(亡くなった人、財産を相続される人という意味)の財産ではないので、そのままいけば相続財産として課税する対象ではないはずだけど、

そこに課税しないとそこを抜け道にして相続税逃れをする人がでちゃうよね(これを「課税上の公平性を欠く」といいます)

ということで、特別に相続財産と「みなして(見做して)」相続税の計算対象に含めましょう

と決められているのが「みなし相続財産」なのです。

「みなし相続財産」には以下のようなものがあります。

  1. 被相続人(亡くなった人)が保険料を負担していた生命保険の死亡保険金など
  2. 亡くなる3年以内に被相続人から贈与された財産(一定の特例を受けたものを除く)
  3. 被相続人から「相続時精算課税」の適用を受けて贈与された財産
  4. 被相続人が勤務していた会社などから受けた死亡退職金など
  5. 贈与税の猶予の特例を受けて贈与された農地や非上場株式、事業用財産など

この辺りが代表的な「みなし相続財産」になります。

他にもどんな「みなし相続財産」があるか知りたい方は国税庁 相続税がかかる財産をご覧ください。

尚、3番目の「相続時精算課税」制度については、こちらの記事で詳しく解説していますのでこちらもあわせてご確認ください。

生命保険の非課税枠とは

生命保険契約に基づく「死亡保険金」は「みなし相続財産」として相続税が課せられます。

しかし、生命保険の保険金には一定の非課税枠がもうけられており、それを下回る金額であれば受取っても相続税はかかりません。

生命保険は、残された家族の生活のためにかけておくのが一般的なため一定額までは税金をかけないという配慮がされているのです。

具体的には、

500万円 × 法定相続人の数

というものです。

この金額までであれば、受取人がどの相続人であっても非課税となります。

たとえば、相続人が奥さんと子ども2人というケースであれば法定相続人は3名です。

そのため奥さんが受取の生命保険が1,500万円あったとしても、他に被相続人の死亡によって受け取れる保険契約がなければ、

この生命保険は非課税で受取ることが可能です。

尚、法定相続人について詳しく知りたい方は、こちらの記事で詳しく解説していますのでこちらもあわせてご確認ください。

死亡退職金にも非課税がある

「みなし相続財産」として相続税が課税される「死亡退職金」にも非課税枠があります。

この「死亡退職金」とは名目を問わず、死亡後に勤務先などから受取る金銭および物品などをいいます。

物品というのは、退職金代わりに車や(会社で保険料を負担していた)生命保険契約などの現物を受取った場合などが該当します。

「死亡退職金」も生命保険などと同様に、残された家族の生活費に充当されることも多いものですから政策的な配慮により一定額までは非課税とされています。

具体的には生命保険とおなじく、

500万円 × 法定相続人の数

となっています。

生命保険の非課税枠をうまく活用すれば相続対策にもなる

生命保険の非課税枠は

法定相続人の数×500万円

分だけあります。これをうまく活用すれば相続対策にもなります。

一時払終身保険

という保険商品は一括で保険料を支払い、亡くなったときにはそれとほぼ同額(少し増える場合もありますが減ることはありません)の死亡保険金を受取れるというものです。

使う予定のない預貯金をこの商品にしておくことで、相続人の方に税金のかからない財産を残すことが可能になります。

また、この非課税枠の「法定相続人」には

養子も1名(実子がいる場合)または2名(実子がいない場合)

まで含めることができるのです。

そのため、この非課税枠を最大限活用するためには、お婿さんお嫁さんあるいはお孫さんなどと

養子縁組

をしておくのも手でしょう。

ただし、養子縁組をした場合にはほかの財産についても実子と同等の相続分が与えられることになりますので、その点はよく考慮したうえでされることをオススメします。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

生命保険は「みなし相続財産」として一定額を超えた場合には相続税が課される可能性があります。

一方で、相続人ひとり当たり500万円の「非課税枠」も存在しているため、うまく活用すれば相続税の額を減らせる「相続対策」も可能になります。

相続では発生してからは、もちろん事前の「相続対策」が不可欠です。相続税を抑えることができるのはもちろん、亡くなった後に相続人間で揉める「争続(あらそうぞく)」を避けるためのアドバイスなども期待できます。

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ABOUT US
うーざん
旧帝国大学の経済学部を卒業後、大手地方銀行に就職。法人融資、個人への資産運用アドバイス、相続対策等の業務に従事。 より顧客の近くで仕事をしたいと一念発起し銀行を退職。会計事務所に就職し、お金にまつわる様々な顧客の悩み解決に向け日々活動している。 またファイナンシャルプランナー資格と保険販売資格も保有しており、顧客の保険見直しなどの悩み相談にも乗っている。