【最新 職種別節税対策】副業の経費はどこまで認められる?~会計事務所職員が解説~

こんにちは、お金のよろず屋管理人のうーざんです。

近年はサラリーマンの方でも副業を行う方が増えてきました。

ブログ運営やプログラミングの個人請負、ユーチューバーや各種スキルの家庭教師など様々な副業を行う方がいます。

さらにはメルカリなどのフリマアプリや、ヤフーオークションなどの個人売買チャネルの発達により転売ビジネスも盛んになってきました。

副業で稼いだお金を確定申告すべきかどうかは、一般に副業で得た「収入から経費を引いた額=所得」が20万円以内であれば確定申告不要とされています。

が、そこにはいくつか落とし穴もあります。副業の確定申告の要否についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、こちらも是非あわせてご確認ください。

本記事では

副業で確定申告を行う場合、どういったものを経費にできるか

について現役会計事務所職員である筆者が解説していきます。

今は会計ソフトが発達していますので、確定申告自体は難しいものではなくなってきましたが、そもそもどういったものを経費にできるかを知らないと、せっかく稼いだお金を無駄に失ってしまうことにもなりかねません。

本記事を読んで「賢く」確定申告を行っていきましょう!

この記事の目次

そもそも「経費」とは何か?

今さらですが、そもそも「経費」か「経費じゃない」かの線引きって何なのでしょうか?

これが分かればこの記事のエッセンスはほとんど理解できたも同然です。

一番重要なところですので是非とも理解できるまで何度も読み返してください。

国税庁HPをみると

所得を計算するうえで必要経費に算入でいる金額は

  1. 総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
  2. その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額

とあります。

難しいですね(笑)

大事なのは①も②も後半の部分です。

前半部分はほとんど意味がないので隠して読んでもいいくらいです。

要約すると、①その収入を得るために直接要した費用か、②その他「業務上の」費用の額

ということになります。

当たり前のようですが、その収入を得るために直接、あるいは間接的であっても仕事に関わりがある支出が経費に算入できますよということです。

これ、かなり大事です。

万一、税務署から指摘を受けた場合にその支出が「どのように仕事に関わりがあるのか」をどれだけきちんと説明できるかどうかが勝負の分かれ目になります。

私の知っている方で、番犬として商売に必要ということで「ドッグフード」を経費として認めさせたという事例があります。

当然どんな方でもできるわけではなく、その必要性や妥当性をどれだけ納得感のある形で説明できるかにかかっていますし、客観的にみても必要性が感じられるものでなくてはいけません(少なくとも理屈が立っていることが大前提です)。

いずれにしても、この大原則を理解していることで様々な支出を柔軟に経費に組み入れていくことが可能となります。

家事関連費とは?

「家事関連費」という言葉をご存知でしょうか?

皆さんも「商売をやっていると車関係の費用や、家賃、水道光熱費など色々なものが経費にできて得だ」という話を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

これは半分はホントで半分はウソです。

上記で挙げた費用はどれも、「家事関連費」として一部を経費に算入できる余地があるのは事実です。

ただし、経費に算入できる費用は「その収入を得るために直接、または間接的に要した費用」のみです。

したがって合理的な基準に基づき、「車関係のなかでもここは事業に使っているから経費に算入する」といったように取引の記録などに基づいて区分しておく必要があります。

例えば、〇〇のセミナーを受講するために××県まで車で往復したからその時にかかったガソリン代相当は経費に算入する

といった形です。

とはいえ実務的にはここまで個人で厳密に管理することは難しいのが現実です。

そこで、実務上はかかった経費の総額を「合理的な基準に基づいて按分」しているケースが多いです。

先ほどの車関係の経費の例でいえば、

  • 年間のガソリン代
  • 車検経費
  • 車の保険
  • 車の減価償却費
  • 車関係の消耗品やタイヤ代など

の車関係にかかった費用の総額が50万円だったとします。

車両の使用時間の3割程度は業務で使用しているとすると、

50万円×30%=15万円

を経費に算入するといったイメージです。

家賃や水道光熱費などもこれと同じイメージで、業務に使用した割合を合理的に算出して按分することで「家事関連費」として経費に算入することが可能となります。

当然ですが、自宅でまったく仕事(副業などの確定申告すべき収入を得るための仕事のこと)をしていないにも関わらず、家賃や水道光熱費などを経費に算入することはできませんのでご注意ください。

家事関連費と先ほどの経費に算入できる費用については、国税庁のこちらのページで詳しく解説していますので、一度読んでおくといいですよ。

国税庁 やさしい必要経費の知識

副業種類ごとの具体的な経費の例

ブロガーやフリーのプログラマーなど

主として自宅などでパソコンを使って仕事をすることが多いと思いますので、そのあたりの費用が経費算入の余地が大きくなります。

  • パソコン及び周辺機器
  • 家賃・水道光熱費などの内、事業に必要な割合で按分した額
  • 専門書籍などの購入費
  • ブロガーの場合はサーバー費用やドメイン料、ツール購入費など
  • 専門のスクールへの通学費や有料商材の購入費用
  • 遠方のセミナー参加のための旅費交通費
  • 作業を外注した場合の外注費用
  • スマホで作業や仕事関係の連絡を取るならスマホ本体の一部や通信費の一部
  • 打合せや同業仲間などとの懇親会費用など

ユーチューバー

ユーチューバーは色々な動画の形があるのでその分費用の捉え方も幅広くなります。

ぶっちゃけてしまえば動画に出すものならなんでも経費になるといってもいいです。その収入を得るために直接要した費用ですから・・・

  • パソコン及び周辺機器
  • 家賃・水道光熱費などの内、事業に必要な割合で按分した額
  • 専門書籍などの購入費
  • 作業を外注した場合の外注費用
  • スマホで作業や仕事関係の連絡を取るならスマホ本体の一部や通信費の一部
  • 打合せや同業仲間などとの懇親会費用など
  • 動画撮影のために必要な機材
  • 基本動画に出すものなら何でも
  • 取材などのための旅費や食費など
  • 移動のための交通費

メルカリやヤフオクなどの個人売買系

個人売買系はそれほど経費の余地が大きいとはいえませんが、自宅で行うことが多いためやはり家事関連費がポイントになってきます。

  • パソコン及び周辺機器
  • 家賃・水道光熱費などの内、事業に必要な割合で按分した額
  • 専門書籍などの購入費
  • スマホで作業や仕事関係の連絡を取るならスマホ本体の一部や通信費の一部
  • 打合せや同業仲間などとの懇親会費用など
  • ヤフオクやメルカリなどの利用料や手数料
  • 商品の送料・梱包資材代
  • 販売するものの仕入にクレジットカードを利用するなら年会費
  • 写真撮影のための機材や加工のための有料アプリの利用料など

まとめ

いかがでしたでしょうか?

上記で挙げた以外でも頭を柔らかくすればまだまだ経費算入の余地がある費用はたくさんあることと思います。

ポイントは

その収入を得るために直接、または間接に要した費用

これをいかに説得力のあるかたちで理論武装できるかです。

ちなみにサラリーマンの「副業」レベルだとなかなか難しくはありますが、本業を凌ぐくらいの高収入な副業になってくると「事業所得」という区分で申告を行うことが可能となってきます。

そうすると「青色申告」を行うことができるようになります。

実は青色申告者には色々な特典があるのですが、そのうちのひとつには「推計課税」されないというものがあります。

「推計課税」とは簡単にいうと、税務署が根拠はないけどこの申告はなんとなくアヤシイから収入と経費はこれくらいということにして課税します

といった形で課税されてしまうものです(多少誇張していますが)。

青色申告になると、先ほどの「家事関連費」についても例えば「5割は経費です」と申告したとしても、税務署側も合理的に「5割は明らかにおかしいよね」といえるだけの根拠を揃えないと課税できなくなります。

ですから余程変なことをしない限りは、きちんと理論武装さえしておけば青色申告者は安心なのです。

副業収入が一定以上になってきた際には、是非とも青色申告可能な「事業所得」での申告を目指しましょう。

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副業収入は通常は「雑所得」という所得区分になりますが、副業を「事業所得」として申告する方法についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、こちらも是非あわせてご確認ください。

開業前に支出した費用も経費にできます!その方法についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、こちらも是非あわせてご確認ください。

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うーざん
旧帝国大学の経済学部を卒業後、大手地方銀行に就職。法人融資、個人への資産運用アドバイス、相続対策等の業務に従事。 より顧客の近くで仕事をしたいと一念発起し銀行を退職。会計事務所に就職し、お金にまつわる様々な顧客の悩み解決に向け日々活動している。 またファイナンシャルプランナー資格と保険販売資格も保有しており、顧客の保険見直しなどの悩み相談にも乗っている。