源泉所得税の納期の特例とは?【源泉所得税の納付は半年に1度でOK!】

こんにちは、お金のよろず屋管理人のうーざんです。

事業を開始して従業員を雇い始めたけど、「源泉徴収(げんせんちょうしゅう)」とかよく分からないけどどうしたらいいんだろう?

こんな悩みをお持ちの方は必見です。

また、

従業員の所得税を毎月集計したり納付したりするのは大変…

という方もこの記事を読めばお悩み解決です。

小規模な事業者の方は「ある届出」を提出するだけで、所得税の納付や計算は「半年ごと」に行えばよくなります。

今回はそんな「源泉所得税の納期の特例」制度の概要と手続き方法について、お話していきたいと思います。

この記事の目次

源泉所得税の納期の特例とは

「源泉徴収」はサラリーマンの方には馴染みの深いものですが、給与を支給する際に事前に所得税を計算して控除する制度のことをいいます。

これは給与を払う人の「義務」になっているため、自分で「する・しない」を選ぶことはできません。

従業員から徴収した「源泉所得税(げんせんしょとくぜい)」は、原則は毎月納付する必要があります。納付期限は給与を支払った月の翌月10日までです。

この納付について、一定の要件を満たす事業者の方が税務署に届出を出すことで、半年ごとに納付すればよくなります。

このことを「源泉所得税の納期の特例」といいます。

納期の特例(納特と略したりします)を受けるためには、下記の要件を満たすことが必要です。

納期の特例を受けるための要件
  1. 給与を支給する人が常時10名未満(=9名以下)であること
  2. 本店などがある住所地の所轄の税務署に、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出していること

要件はこれだけです。とってもシンプルですね。

業種を問わず、常時10名未満の従業員であれば税務署に届出を提出するだけでOKです。

承認された場合、次回の納期限に間に合うように自動的に税務署から「納期の特例用の納付書」が送付されてきますので、届出を出す以外に特にやることはありません。

納期の特例を適用した場合の所得税の納付事務

「納期の特例」を適用した場合、納付は「半年ごと」になります。

その納付のタイミングは、下記の通りです。

納期の特例による納付のタイミング
  • 1月~6月分   … 7月10日まで
  • 7月~12月分  … 1月20日まで

※休日の場合は一番近い平日に後倒しになります

ここでいう〇月分というのは、あくまでも支払った月のことをいいます。

給与締日の関係で「25日締め翌月10日払い」などのケースには、会社で普段使っている〇月分給与という概念とは1か月ズレますので気をつけましょう

1月の納期が20日となっているのは、半年分を集計したうえで「年末調整」もしなければならないため少し遅めの期日になっています。

半端なタイミングで届出を提出した場合はどうなる?

「納期の特例」を提出した場合、1~6月分を7月10日に、7~12月分を1月20日に納付します。

では例えば、4月に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出した場合はどうなるのでしょうか?

下記は国税庁のHPの抜粋です。

この申請書を提出した月の翌月末日までに税務署長から承認又は却下の通知がなければ、この申請書を提出した月の翌月末日に承認があったものとされ、申請の翌々月の納付分からこの特例が適用されます。

国税庁HP [手続名]源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請 より

非常にややこしいですね(笑)

税法というのはどうしてこう…

こういう時は実際の月を当てはめてみると読みやすくなります。

今の事例でいくと、

申請書を提出した月の翌月末日までに税務署長から(以下略) = 5月末までに税務署長から(以下略)

この申請書を提出した翌月末日に承認があったものとされ、申請の翌々月の納付分からこの特例が適用されます

=5月末に承認があったものとされ、6月の納付分(=5月に払った給与で控除した所得税)からこの特例が適用されます

ということになります。

要するに、

4月に届出を提出した場合、

4月分は5月10日に納付し、5月と6月分を7月10日(納期の特例適用)に納付することになります。

住民税にも「納期の特例」がある

住民税の納付方法には、以下の2つの種類があります。

  1. 「普通徴収」…従業員個人宛に納税通知書が送付され、個人で納付する制度(納付は4分割)
  2. 「特別徴収」…会社宛に従業員の納付額(給与から控除する額)の通知が来て、会社で所得税と同じように「源泉徴収」したうえで、徴収した月の翌月10日までに会社が納付する制度(納付は毎月)

上記の2種類のどちらで納付をするかは、前年の「年末調整」を行う際に、会社が従業員毎に「普通徴収」か「特別徴収」かを選択することになります。

地方税法では、特別徴収は義務とされていますので「給与が少なくて控除できない」「2か所以上で働いていて他の事業所で特別徴収を行っている」などの方以外は、

全員「特別徴収」をしなければなりません。

「特別徴収」をする・しないは基本的に選択できません。平成26年頃から総務省の号令により全国の市区町村で「特別徴収」への切替強化の運動が行われており、自治体によっては「年末調整」で普通徴収を選択しても、強制的に特別徴収へ変更されるなど厳しい対応が増えてきています。

地方税法により、罰則規定も設けられています(200万円以下の罰金・10年以下の懲役)ので、まだ「普通徴収」だという事業者さんは「特別徴収」への切替を検討くださいね。

住民税を「特別徴収」した場合には、徴収した月の翌月10日までに納付をすることが原則です。

しかし、「所得税」と同様「住民税」にも「納期の特例」制度があるのです。

所得税と同様に常時10名未満の従業員であれば、住民税を納付する市区町村(従業員が住んでいるそれぞれの市区町村)に「特別徴収税額の納期の特例に関する申請書」を提出することで、

住民税の納付も「半年ごと」にすることができます。詳しくは市区町村の窓口(税務課など)に問い合わせてみましょう。

住民税の「納期の特例」の場合は、

6月~11月分  ⇒ 12月10日まで

12月~翌5月分 ⇒ 6月10日まで

となり、所得税とは1か月納付期限がずれますのでご注意ください。

従業員10名未満の判定は、市区町村毎ではなく会社全体で判定しますのでご注意ください。

例:A市在住の従業員6名 B市在住の従業員5名 だった場合、どちらの市も「納期の特例」は適用できず毎月納付となります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

開業すると最初は事務員を雇う余裕もなくて、色々なことを経営者自らが行わなければならないことが多いと思います。

そんな場合は、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出しておくことで、事務の手間を少し省くことができますし、銀行に足を運ぶ回数も減りますのでオススメです。

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ABOUT US
うーざん
旧帝国大学の経済学部を卒業後、大手地方銀行に就職。法人融資、個人への資産運用アドバイス、相続対策等の業務に従事。 より顧客の近くで仕事をしたいと一念発起し銀行を退職。会計事務所に就職し、お金にまつわる様々な顧客の悩み解決に向け日々活動している。 またファイナンシャルプランナー資格と保険販売資格も保有しており、顧客の保険見直しなどの悩み相談にも乗っている。