リースvs現金一括購入 どちらがお得?【会計事務所職員が解説】

こんにちは、お金のよろず屋管理人のうーざんです。

筆者はよく担当するお客様からこのような質問を受けます。

「車を買おうと思うんだけど、リースと現金一括で購入するのはどっちが税金的にトクをするの?」

結論からいえば、どっちも「税金的」にはあまり変わりありません。

ですが、とてもよく聞かれるので同じ疑問を持っている方がたくさんいるんだろうなぁ

とは思っています。

そこで今回は、リースで車を買った場合と、現金一括で購入した場合で会計処理や税務処理にどのような違いがあるのかを解説していきたいと思います。

また、皆さんがなんとなく使っている「リース」という取引にも実はいくつか種類があります。

その「リース取引」の違いについてもあわせてお話していきますね。

もちろん、ここまででお分かりとは思いますが、本記事で解説するのはあくまでも「事業を行っている方」の税金の話です。

事業を行っていない方にとっては、どのような方法で車を買っても税金には影響がありませんのでお含みおきください。

「現金一括」で車を買った場合

現金一括で車を購入した場合は、通常の「減価償却資産(げんかしょうきゃくしさん)」と同じく一定期間で分割して経費にしていくことになります。

これは事業をされている方にとっては、お馴染みの処理だと思います。

「減価償却」というのは、10万円以上する物品を取得した場合にその物品ごとに決められた年数(月数)で分割して経費化していくことをいいます。

会計や税務の考え方には、

「収入を計上する時期」と「経費を計上する時期」を一致させましょうね

という考え方があり(これを「費用収益対応の原則」といいます。が、覚えなくて大丈夫です(笑))、

10万円以上するような高額な物品はある程度長期間使用できるはずだよね

という前提のもと、物品ごとに一定期間をかけて分割で経費化していくルールになっているのです。

車の場合は、

軽自動車なら「4年」

普通乗用自動車なら「6年」

で減価償却することに決められています。

ただし、中古の場合は初年度登録から何年経過しているか(何年落ちか)によってこれより短い期間で償却することになり、最短「2年」で償却します。

減価償却は「個人事業」の場合は、「定額法」といって毎年均等額を経費化していくことになります。

例えば360万円の普通乗用車を新車で購入した場合、1年あたりの減価償却費は、

360万円 ÷ 6年 = 60万円

となります。

減価償却費は月割りとなるので、購入した年は買った月から年末までの期間で月割計算をします。

10月に購入した場合は、10月から12月までの3か月間で月割りなので

60万円 × 3/12 = 15万円

が初年度の減価償却費になります。

「法人」の場合は原則「200%定率法」といって、毎年一定の「率」で計算した額を経費化していくことになります。

200%というのは「定額法」の2倍の率で経費化する

という意味です。

定額法で期間6年の場合、 1 ÷ 6 ≒ 0.167(先ほどの「定額法」の減価償却費計算も本当は÷6ではなくて、×0.167をしますので、60万円ぴったりにはなりません。が、大まかに理屈をつかんでいただければ大丈夫です)

という割合で経費化していきますので、「定率法」ではこの2倍

0.167 × 2 ≒ 0.333(0.334ではないですが決まりですので流してください・・・)

という割合で減価償却費を計算します。

先ほどの360万円の新車の普通乗用車の場合、

3,600,000 × 0.333 = 1,198,800

というのが初年度の減価償却費になります。

2年目の償却費は

(3,600,000 - 1,198,800) × 0.333 = 799,600(小数点以下切上げ)

といった感じで、計算していくのが「定率法」の減価償却です。

税務署に届出を出さない限り、個人は「定額法」、法人は「定率法」で減価償却費を計算します。

ご覧いただいてわかるように、「定率法」で償却した方が初年度の経費が大きくなるため当初は税金が少なくなります。

ですが、最終的にはどちらの償却方法でも6年経過時には備忘価格1円まで減価償却することになるため、

償却方法での損得は基本的にはありません(その年の所得状況などでたまたまどちらかが得だったという場合はあり得ますが、「結果論」であって必ずどちらかが有利になるということはありません)。

以上が、「現金一括」で車を購入した場合の処理になります。

「リース」で車を購入した場合

では「リース」で購入した場合はどうなるのでしょうか?

その前に「リース」には大きくわけて2つ種類があります。

いわゆる「レンタル」のようにリース期間終了後に返却する取引の場合は、車の「所有権」は自分にはありませんのでリース料を支払った都度「経費化」していくことになります。

この「レンタル」のようにリース期間終了後に車を返却する取引のことを「オペレーティングリース」といいます。

一方で、ローンのようにリース期間が終了してリース料を払い終えると車が自分のものになる取引を「ファイナンスリース取引」といいます。

「ファイナンスリース取引」は細かい部分はさておき、実質的にはリース会社から借入をして車を購入したのと同じ経済効果があるため、税務・会計的にはローンを組んで購入したときや、現金一括で購入したときと同じような処理となります。

すなわち「減価償却」をして経費化していくことになります。

「ファイナンスリース取引」はさらに、

「所有権移転ファイナンスリース取引」

「所有権移転“外”ファイナンスリース取引」

にわかれます。

「所有権移転ファイナンスリース取引」は、リース期間終了後にそのまま車が自分のものになります。そのためリース会社からローンを借りて購入したのと同じことと考えられるため、

銀行で融資を受けて購入した場合や、手元の現金で購入した場合とまったく同じように決められた期間で減価償却をすることになります。

固定資産台帳や帳簿への記載も、現金一括購入のときとまったく同じ処理となりますのでまったく損得はありません。

強いて言うならリース料に保険料や利息相当額が含まれている分、「所有権移転ファイナンスリース取引」の方が多少割高

というくらいです。

続いて「所有権移転“外”ファイナンスリース取引」とは、リース期間終了後に「再リース期間」が設定されていたり、別途「譲渡代金」を支払うことで自分の物にすることができる「オプション」がついている契約のことをいいます。

この場合、オペレーティングリースと、所有権移転ファイナンスリース取引のちょうど中間のような位置付けになるため、

税務・会計の処理も、固定資産台帳に計上したうえで「リース期間定額法」というリース期間(月数)に応じて均等に減価償却する

という丁度「オペレーティングリース」と「所有権移転ファイナンスリース」の中間のような処理になります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

原則「経費」の面では、リースであろうと現金一括購入であろうとほとんど損得はありません。

ただし、先ほどは触れませんでしたが、消費税の処理については「オペレーティングリース」とその他(現金一括やファイナンスリース取引)の取引では違いがあります。

オペレーティングリースでは支払の都度「リース料」などの科目で経費計上をしていくため、消費税の仕入税額控除は「支払の都度」認識することになります。

一方で、その他の処理では「固定資産の取得」として処理し、減価償却することで経費化していくため、消費税の仕入税額控除はリース期間の開始時(現金一括の場合は購入時)にリース料総額分に相当する取得価額の全額を認識することになります。

しかしながら、先ほどの「定額法」と「定率法」の話と同様、最終的には仕入税額控除の金額は変わらないことになりますので、

あくまでも「早いか遅いか」の違いしかありません。

それよりも重要なのは、現金一括で購入した場合には「経費化」するタイミングとお金が出ていくタイミングに大きなズレが生じる

ということを認識しておくことです。現金は購入時に一括で出ていく一方、経費化は6年など長期間にわたって行うことになります。

そのため購入時には現金支出額ほど税金の減少効果が見込めず、一時的に資金繰りが悪化する

という点をよく理解しておくべきです。

私もお客様から相談を受けた際にはこの点をよく理解いただくようにしています。

「税金」の面では損得はありません。

ですが、自社の資金繰りのことを考えて「リース」と「一括購入」のどちらを選択するかをもう一度考えてみてください。

以上、最後までお付き合いありがとうございました。

尚、「消費税の仕入税額控除」については、こちらの記事で詳しく解説していますのでこちらもあわせてご確認ください。

消費税額計算の仕組みを会計事務所職員が解説!【事業者必見】

また、資金繰り=手元資金の重要性についてはこちらの記事で詳しく解説していますのでこちらもご確認ください。

銀行からの借入は少ない程いいか?【元銀行員が教える手元資金の重要性】

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ABOUT US

旧帝国大学の経済学部を卒業後、大手地方銀行に就職。法人融資、個人への資産運用アドバイス、相続対策等の業務に従事。 より顧客の近くで仕事をしたいと一念発起し銀行を退職。会計事務所に就職し、お金にまつわる様々な顧客の悩み解決に向け日々活動している。 またファイナンシャルプランナー資格と保険販売資格も保有しており、顧客の保険見直しなどの悩み相談にも乗っている。