<事業承継>経営者保証を外す方法【元銀行員が裏ワザ教えます】

こんにちは、お金のよろず屋管理人のうーざんです。

事業承継を行う際の「最大のネック」ともいえるのが借入の「連帯保証」の問題といわれています。

もちろんこれは既に「後継者」となるべき人が決まっている場合のお話です。

最近ではお子さんなどの親族間承継以外の「第三者」への事業承継も増えてきています。

こうした第三者承継や親族間承継で多額の「個人保証」がネックとなり事業承継を諦めざるを得ない事案が多いようです。

そこで今回は経営者保証を外す方法について、元銀行員である筆者が解説していきます。

昨年12月にはこうした事業承継時の経営者保証問題解決を後押しする「経営者保証に関するガイドラインの特則」というものも策定・公表されていますので、その中身についてもお話していきたいと思います。

この記事の目次

経営者保証に関するガイドラインとは

中小企業融資における「経営者保証のあり方」については、平成26年2月に「経営者保証に関するガイドライン」が公表されたことで大きな転換点を迎えました。

このガイドラインの公表当時は筆者も銀行に勤務していましたので、お客様のもとを周って説明をしていました。

「経営者保証のガイドライン」とは、

  1. 保証人に過度に依存した融資を行わずないことや
  2. 法人が倒産するなどして「保証債務履行」を行う保証人の一定の生活保障
  3. 事業承継時の保証人徴求に関する柔軟な対応

などを目的として制定されたものです。

制定にあたっては、全国の銀行が加盟する「全国銀行協会」や「日本商工会議所」、中小企業庁や金融庁などの関係各機関や専門家などが何度も議論を行い、

最終的には約1年の議論を経て公表されたという経緯があります。

ただ公表当初は「横並び体質」の強い銀行業界では、他行の出方を伺うばかりであまり積極的に従来までのやり方を変えようという動きはありませんでした。

しかし、顧客側の認知度の高まりとともに徐々にではありますが、「保証人なしでの融資」も増えてきています。

平成31年4月~令和1年9月(令和1年上半期)における全国の信用保証協会で新規に実行された融資のうち、4分の1強にあたる81,246件が「無保証人」で実行されています(中小企業庁 「経営者保証に関するガイドライン」の活用実績より)。

また、政府系金融機関である「日本政策金融公庫」「商工組合中央金庫」に限るとその割合はさらに高く約4割の融資が「無保証人」で実行されています。

連帯保証を外すためにはどうしたら良いか

では実際に「保証人なしでの融資」「既存の融資の連帯保証を外す」ためにはどうしたら良いのでしょうか?

「経営者保証に関するガイドライン」では、以下のような要件が将来に亘って充足すると考えられる場合に「保証人なしでの融資」を検討するとされています。

経営者保証なしで融資を受けるポイント

  1. 法人と経営者個人の資産・経理が明確に分離されている
  2. 法人と経営者の間の資金のやりとりが、社会通念上適切な範囲を超えない
  3. 法人のみの資産・収益力で借入返済が可能と判断し得る
  4. 法人から適時適切に財務情報等が提供されている
  5. 経営者等から十分な物的担保の提供がある

上記の要件がすべて充足されないと絶対に「連帯保証なし」で融資を受けられない

というわけではありませんが、

銀行との交渉にあたっては必ずこの5つがポイントになってきます(むしろ5つが充足されていない場合断るための理由づけにされます)ので、満たせない要件がある場合でも他に補える要素があるなど、

「何らかの交渉材料」を用意しておくべきです。

具体的には、⑤の代表者個人からの十分な物的担保の提供の部分などはなくても外せるケースはたくさんあります。

ただしその場合には、③の「法人のみの資産・収益力で借入返済が可能と判断し得る」というポイントなどで現状の収益力や将来の見込みをある程度根拠立てて説明するなど、

銀行を納得させるための材料を用意してから交渉に臨むことが重要です。

経営者保証のガイドラインの特則(事業承継)とは

先ほどもお話した通り、当初から「経営者保証に関するガイドライン」では事業承継時においても保証人からの求めに応じて、

場合によっては保証人を取らないなど柔軟な対応を行う旨が明記されていました。

しかしながら実際には、冒頭にもお話したようにいまだ保証債務が事業承継時の「最大のネック」となっている現状があります。

そのような状況を鑑み、令和1年12月に事業承継時に焦点をあてた「経営者保証に関するガイドラインの特則」が公表されました。

このガイドラインは令和2年4月1日から適用されることとされており、それ以降に経営者交代があった場合には原則この特則に則った対応がされることになります。

この特則では主として

  • 前経営者と新経営者両方からの「二重保証」の徴求

について「慎重な対応」をすることを金融機関に求めています。

これは令和2年4月1日から民法改正により「第三者保証」が原則禁止となることを意識しての対応だと考えられます(第三者保証禁止の原則禁止については別記事で解説予定です)。

事業承継時における「無保証」型融資の切り替えについては、概ね本則の「経営者保証に関するガイドライン」と内容は同じで、

後継者との保証契約に当た っては経営者保証が事業承継の阻害要因となり得る点を十分に考慮し保証 の必要性を慎重かつ柔軟に判断すること

経営者保証に関するガイドラインの特則より

というような記載にとどまっています。

またその際には、本則に記載されている先ほどの5つの要件を鑑みたうえで対応することとされています。

記載内容はあまり踏み込んだ部分がなく、従来とはさほど変わり映えがしない一方で、

あえて本則とは別の形で事業承継時の対応だけを別途「特則」として明文化したことが、債務者や保証人にとっての「新たな交渉材料」になると考えられます。

つまり、このような「特則」ができたのだからもっと親身な対応をして欲しい

などのかたちで「特則がつくられた」という事実そのものを交渉材料にすると良いでしょう。

銀行は言わずもがな「免許事業」です。金融庁の監督下におかれており、行政の指導に背く経営を続ければ最悪の場合「業務改善命令」や「業務停止命令」を出されてしまう立場です。

そのため、このような「ガイドライン」を盾にとれば比較的交渉はしやすくなります。

もちろんその際には、先に述べた5つの要件を充足するなどベースとなる交渉材料は最低限用意していることが条件になりますので、その点はしっかりとご準備ください。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

思ったよりも多く「保証人なしでの融資」が行われていることに驚かせた方もいるのではないでしょうか?

銀行は基本的にこちらから要求しなければ「保証人を外しませんか?」などと提案はしてくれません(どのような商売でもあえてこちらから不利になる提案はしないと思いますが・・・)。

経営者個人と法人のお金が分けて管理されている

ことなど最低限の要件が満たされているのであれば、是非とも交渉してみましょう。

銀行が経営者個人を「保証人」に取る意味は、代表者個人の資力による「信用補完」という側面もあるのですが、

それ以上に何より「経営者自身に緊張感を持った経営をしてもらう」という意味合いが強いです。

上場企業などは借入にあたって経営者が個人で保証することはありません。

それは上場企業の経営者は基本的にオーナーではなく、「サラリーマン」であることもひとつの理由でありますが、

何よりも株主や監査法人、社外取締役など第三者の視点で経営が監視されており、あえて個人保証を徴求する意義が薄いというのが最大の理由です。

「経営者の個人保証なし」で融資を受けられる

というのはこうした上場企業に準じた「経営の透明性」や「収益力」などが備わっていると金融機関に認めてもらうということと同義です。

是非とも「経営者保証に関するガイドライン」を活用し、会社の経営の透明性や収益力の「客観的評価」を高める努力を行っていただければと思います。

以上、最後までお付き合いありがとうございました。

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ABOUT US
うーざん
旧帝国大学の経済学部を卒業後、大手地方銀行に就職。法人融資、個人への資産運用アドバイス、相続対策等の業務に従事。 より顧客の近くで仕事をしたいと一念発起し銀行を退職。会計事務所に就職し、お金にまつわる様々な顧客の悩み解決に向け日々活動している。 またファイナンシャルプランナー資格と保険販売資格も保有しており、顧客の保険見直しなどの悩み相談にも乗っている。