「保証人」と「連帯保証人」、日本語ではたった2文字の違いだけど法的にはどういう違いがあるんだろう?
甥や姪の奨学金の保証人になって欲しいと頼まれたけど、このままサインしていいものなんだろうか?
あるいは、安請け合いして保証人や連帯保証人になってしまったけれど、いざという時どういう責任を負うんだろう?
そんな疑問をお持ちの方は、この記事を読めばその違いについてスッキリ理解できます!
端的にいうと、「保証人」と「連帯保証人」では責任の重さが全く異なります!以下ではその違いの具体的な内容について解説していきます。
この記事の目次
保証人と連帯保証人の3つの違い
借入した本人が逃げても抵抗できない
まずひとつめの違いですが、例えば借入をした人が黙って逃げてしまった場合。こうした場合、お金を貸した人は「保証人」や「連帯保証人」のところに返済してくれるようお願いに来ます。
このときに「保証人」の人は “先に借入した本人を探して取り立ててよ!それでもどうしても無理だったら自分が代わりに返します” と言うことができます。
ですが「連帯保証人」の人にはこの権利がありません。ですから問答無用で返済しなければならないのです。
この違いのことを「催告の抗弁権」が無い
といいます。
借入した本人が財産を持っていても返済しなければならない
借入した本人がまたまた逃げてしまいました。
「保証人」であるあなたは、借入した本人が沖縄の離島に豪華な別荘を隠し持っていることを知っています。
そこであなたは取り立て屋に耳打ちします。 “あの人は沖縄の〇〇に豪華な別荘を持っていますよ。それを差押えて売却してから足りなかったら私が代わりに返済しますよ” と。
このとき、取り立て屋さんは、「なるほど!いい情報をくれましたね。じゃあそちらを差押えて足りなかったらまた来ますね」といって帰ってくれます。
「連帯保証人」のあなたが取り立て屋さんに同じことを耳打ちします。するとどうでしょう?
「沖縄!?そんな離島くんだりまでわざわざ行って、差押えて競売までやってたら何年かかるか分からない。あなたは余計なことを言わず黙って返済してくれればそれでいいんですよ。」
と、こう言われてしまいました。
随分取り立て屋さんの対応が違いましたね。
そうです、「連帯保証人」には借りた人に財産があることを知っていても先にその財産を差押えてからじゃないと返済しませんよ、という権利がありません。
これを、「検索の抗弁権」がない
といいます。
保証人が複数いても全額返済する義務がある
保証人がAさんとBさんの2人いたとします。
この場合、「保証人A」であるあなたは “分かりました。借入したあの人からはもう何も取れないのであれば私が代わりに返済します。ただし私は1/2だけ返済しますので、残りはBさんから返済してもらってください”
と言うことができます。
ところが「連帯保証人A」であるあなたは・・・
もうお分かりですね。この場合も「連帯保証人A」さんは取り立て屋さんから、
「1/2!?それじゃ困るんですよ。Bさんには何度か連絡したけど連絡がつかない。だから全額あなたに返済してもらわないと困るんですよ!」
とくるわけですね。この場合も「連帯保証人A」さんは拒否することができません。
「連帯保証人」は保証人が複数いた場合でも、人数分で分担して返済することを主張できません。
これを「分別の利益」がない
といいます。
もちろん全額払った場合、あなたは連帯保証人Bさんに対して「求償権」という権利を得て「私が全額払ったんだからあなたも半分払ってよね!」といってBさんに請求する権利はあります。
ただし、貸した人に対してこうした分担を申し出る権利はありませんよ、ということになります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「保証人」と「連帯保証人」の違いはたったの3つです。
- 「催告の抗弁権」が無い
- 「検索の抗弁権」が無い
- 「分別の利益」 が無い
以上の3つの権利が制約されていることで、「連帯保証人」の方は債務者とほとんど同等の義務を負っているといえます。
連帯保証人の「連帯」という言葉には、債務者との「連帯責任」という意味合いがありますのでこうした制約が課されており「債権者=お金を貸した人」に非常に有利な契約となっています。
以上のことを踏まえて、安易に保証契約書にサインをされないように気をつけていただければと思います。
最後までお付き合いありがとうございました。
令和2年4月1日以降、120年振りに民法が改正され保証人に関する事項にも変更があります。
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