個人で開業して事業を始め軌道に乗ったところで気になるのは税金のことだと思います。
「法人化すると節税になる!」なんて聞いたこともあるけど実際のところどうなんだろう?本記事ではこのようなお悩みにお答えしていきます。
尚、すでに法人を設立している方はこちらの記事で決算対策の駆け込み節税対策について解説していますのでこちらの記事もあわせてご確認ください!
法人の節税対策5選!【決算直前でも使える方法を会計事務所職員が解説】
法人を設立したら「節税に強い税理士」を探すことは必須です。
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この記事の目次
法人化すると節税になる理由は8つある!
法人化すると税金が安くなる!と言われていることには8つの理由があります。以下の8つがその理由になります。
- 役員報酬の支給による節税
- 法人と個人の税率の違いを利用
- 保険の契約を法人に変えることで税金の繰り延べが可能に
- 家族への給料も経費にしやすくなる
- 退職金の支給を活用して節税が可能に
- 消費税の免税期間がリセットされる
- 赤字の繰越期間が7年間延長される
- 減価償却が任意になるため経費の繰延べが可能に
上記の8つが法人化で節税が期待できる理由です。以下ではひとつひとつ詳しく内容を説明していきます。
役員報酬の支給による節税
代表者に支払った給料も経費算入ができる
法人にすると、事業主=代表者にも給料を支払うことができます。厳密には個人事業であっても事業主さんへ給料を支払うことは可能ですが、支払った給料は経費にはなりません。したがって、個人時代には収入から経費を引いて残った所得から税金を引いたものが事業主の手取りになります。
しかし、法人化すると自分に給料を払うことで会社の所得を少なくすることが可能になるのでその分節税効果が期待できるのです。
給与所得控除の適用で更に税金が安くなる
給与を支払うと、会社はその支払った給与の額を原則全額経費にすることができます。
一方で、給料をもらった側は「給与所得」としてもらった給料に対する所得税を支払うことになります。この「給与所得」を計算する際に「給与所得控除」という控除を引いたうえで税金を計算することになるので、この分だけ更に税金が安くなることになります。
令和2年1月~の給与所得控除の金額は下記の通りです。
給料の額 | 給与所得控除の額 |
1,800,000円以下 | 収入金額×40%-100,000円 550,000円に満たない場合には、550,000円 |
1,800,000円超3,600,000円以下 | 収入金額×30%+80,000円 |
3,600,000円超6,600,000円以下 | 収入金額×20%+440,000円 |
6,600,000円超8,500,000円以下 | 収入金額×10%+1,100,000円 |
8,500,000円超 | 1,950,000円(上限) |
「給与所得控除」の金額は上図の通りです。最低で55万円、最高では195万円まで給与を貰うだけで控除が取れるのです。
どうしてこのような控除があるかというと、給料で生活するいわゆるサラリーマンの方たちも仕事に必要なスーツや靴、あるいは仕事関係の書籍や道具など色々と必要なものを購入することになります。
とはいえ、こうしたものをひとつひとつ申請していては、膨大にいるサラリーマンの方も税務署も大変ですので、給与の額に応じて一律にこうした「給与所得控除」という形で概算経費を見積もりますよということなのです。
法人と個人の税率の違いを利用して節税
法人化すると会社では「法人税」を支払うことになります。一方、個人事業の場合には「所得税」及び「住民税」を支払います。
個人の所得税の税率は所得の金額に応じて5%~45%となっています。これに住民税10%を加えたものが個人の税金になりますので個人の所得に対する税率は15%~55%ということになります。
個人の所得税・住民税率表(復興特別所得税を除く)
課税される所得金額 | 税率 |
195万円以下 | 15% |
195万円超 330万円以下 | 20% |
330万円超 695万円以下 | 30% |
695万円超 900万円以下 | 33% |
900万円超 1,800万円以下 | 43% |
1,800万円超 4,000万円以下 | 50% |
4,000万円超 | 55% |
一方で、法人税の実効税率は資本金1億円以下の場合、所得(≒利益)の金額と法人のある自治体によって若干差があるものの概ね22%~33%程度です。
ちなみに、法人税の方では「実効税率」という言葉を使いましたが、実は法人には5種類(法人税・地方法人税・法人都道府県民税・法人事業税及び地方法人特別税・法人市区町村民税)の税金があってこれらを合算した税率を「実効税率」といいます。
したがって、ある程度以上の所得金額になってくると個人の方が税率が高くなってしまうため法人化することで節税になるというわけです。
保険の契約を法人名義に変更することで利益の繰延べが可能に
法人化すると、一定の生命保険契約などは支払った保険料の全額、または一部を経費にすることができます。
個人でも「生命保険料控除」という形で控除は取れますが、保険契約の種類毎に上限が定められており、最大でも年間12万円までしか控除になりません。
これに対して法人では一定の保険契約については全額損金計上が認められているものもありますので、場合によっては年間で数十万円から数百万円の経費計上も可能になります。
ただし、経費計上が認められるものは基本的に保険金の受取が法人となっている等一定の制限がありますので、契約前に税理士など専門家に相談されることをお勧めします。
法人契約の生命保険契約については、2019年2月14日に国税庁から取扱いの見直しが宣言され生保各社が一斉に販売を停止するということがありました。
2020年2月現在では、「節税効果は原則ない」旨を明確にした形で販売されていますが、株式の譲渡を控えているケースや、経営者の方の退職金(予定のお金)を分割で経費算入できる等、目的を明確にしたうえで活用すればまだまだ威力を発揮するケースがありますので当サイトでもそのうちに解説したいと思います。
法人化すると家族への給与支給がしやすくなる
法人の方が家族への給与支給条件が緩い
法人化すると家族への給与支給の要件が緩くなります。そのため家族への給与支給を活用することで法人での経費の増加が見込めます。
個人で同一生計の家族に給与を支払うためには、税務署に「青色専従者給与の届出」という届出を提出したうえで、その届出に記載した金額の範囲でしか給与を支給することができません。
また「専従」というだけに「専ら従事する」、すなわち年に半年以上その事業に従事できることも必要となる等色々と制約が多く、使い勝手は良くありません。
一方で法人化すると家族であれ他人であれ、会社の事業に対して一定の貢献があればその対価として給与を支払うことが可能になります。
すなわち、月に1,2度程度何かの作業を手伝ってもらっているなどの状況でもその労働に見合う程度の金額であれば給与支給が可能になります。
また、学生のお子さんが夏休みや春休みの間だけ実家に帰省して仕事を手伝ってもらっていたり、引退したご両親に経営の重要時を月に1度程度相談している、といったケースでも一定の給与を支払うことは可能です。
所得の分散効果が見込める
経営者の方へ給与を多額に支払った場合、前述の通り個人の税金は所得が高くなるほど税金が高くなってしまいます。家族へ給与を出しやすくなった分、家族へ分散して給与を支払うことで税金の額を安く抑えることが可能になります。
例えば経営者1名で1,000万円の報酬を取った場合、
所得税・住民税を合わせた個人の税額は 1,895,100円
これを経営者500万・配偶者300万・お子さん2名100万×2と分散した場合、
家族全員分の税金を合計しても 794,500円
と家族に分散することで約110万円もの税金を節約することができています。
※上記のシミュレーションでは各人の所得控除は基礎控除の38万円以外考慮していませんので、上記の税額と異なる場合があります
退職金の支給で多額の経費計上が可能に
法人では退職金の支給が可能になります。
退職金は支給する法人の側では多額の経費計上が可能になる一方、受け取った側では勤続年数に応じた退職所得控除を引いた金額をさらに1/2にした金額にした税金がかからないため大きな節税効果が期待できます。
退職所得控除の額
勤続年数 | 退職所得控除額 |
20年以下 | 40万円×勤続年数(80万円未満は80万円) |
20年超 | 800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
ただし退職金の支給にあたっては、「退職」した事実が必要になります。退職金を支給したあともそのまま以前と変わらずこっそり働いていた等の事実があれば退職金の支給が遡って否認されることもありますのでその点はご注意ください。
消費税の免税期間がリセットされる
消費税の納税義務の判定には原則として「2年前の売上高」を用います。
そのため開業して2年間は2年前の売上高がありませんので、必然的に消費税の納税義務が免除されることになります。
個人事業時代に消費税の納税義務者であった方でも、法人化をすることで別人格となるため消費税の納税義務が2年間免除されることになります。この部分も1回限りではあるものの法人化した際に得られる大きな節税メリットといえます。
但し、事業によっては法人化する際に個人事業の時の事業用の財産等を会社に売却するケースがあります。その場合には税理士と相談の上、あえて免税の権利を放棄した方が有利になる場合もありますので必ず専門家に相談されることをお勧めします。
筆者も相談を受けた経験がありますが、
あまり法人化に詳しくない税理士さんに顧問をお願いしていたために、法人化する際に「ある届出」を提出するのを失念して消費税の還付を受けることができず大損をした
といって当事務所に移ってきたお客様もいらっしゃいました。
このように顧問税理士の選択を誤ってしまうと、大きく損をしてしまうことにもなりかねませんので税理士の選択は慎重に行いましょう。
今は近所の税理士ではなくても、「ZOOM」や「Skype」などのビデオチャットで遠隔からも相談に乗ってくれる税理士さんがたくさんいますので、気になる方は「税理士ドットコム」で最適な税理士さんを探してみると良いかもしれませんね。
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赤字(欠損金)の繰越期間が7年間延長される
個人の場合にも青色申告を行っている方は、事業等で赤字(欠損)を出した場合は翌年以降3年間赤字額を繰越して、翌年以降の黒字額と相殺することができます。3年を過ぎた場合には期限切れとなって相殺できなかった部分の欠損金額は消えてしまします。
法人化すると、この欠損金の繰越可能期間が10年間になります。
そのため先の「退職金の支給」のような大きな赤字を計上したとしても、この赤字を翌年以降10年間黒字と相殺していけるため個人と比べて節税の余地が大きくなります。
減価償却が任意になる(しなくても良い)
法人の場合、税務上減価償却は任意となっています。その年経費にできる上限額はありますが下限は定められていませんので減価償却をまったく実施しないことも可能になります。これにより経費の繰延べ(貯金)が可能になります。
一方、個人の場合は強制償却で利益が出ようが出まいが必ず減価償却を行わなければならないので、経費の繰延べはできません。
退職金支給などの事情で大幅な欠損を計上した場合、欠損金として10年間は繰越していけますが、10年経過すると期限切れとなってしまいます。
例えば、毎期500万円程度の利益を計上している会社があったとします。この会社の減価償却費は500万円あるので減価償却を行わない場合、利益金額は1,000万円になります。
この会社が前年度多額の退職金支給を行って1億円の赤字(欠損)になったとします。
その場合、翌年以降10年間は減価償却を行わないで利益を1,000万円ずつ計上していければ、この赤字(欠損)1億円をきれいに10年間で使い切れます。
しかし減価償却を行って毎期の利益が500万円になった場合は、10年間で5,000万円しか赤字(欠損)を使い切れず5,000万円は無駄になってしまいます。
こうしたケースで任意償却である法人の強みが活かされてきます。減価償却には期限がありませんので欠損金を使い切ってからゆっくり減価償却を行えばいいので期限無制限の経費をストックすることができます。
くどいようですが個人事業の場合は、「強制償却」と決まっていますのでこうした方法は使えません。
まとめ
ここまで法人化することで得られる8つの節税メリットについて解説してきました。
このようなメリットは多々ありますが、一方で家族経営の場合には法人化することで社会保険負担が増加するなど、税金以外の部分で負担が増加するケースもあります。
税金が安くなる!というだけで安易に飛びつかず、メリット・デメリットをよく理解したうえで将来的に事業をどうしていきたいかも踏まえながら検討して頂ければと思います。
会社を設立するときの主な選択肢、「株式会社」と「合同会社」の違いとそのメリット・デメリットについて知りたい方はこちらもあわせてご確認ください!
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医者に「名医」や「ヤブ医者」がいるように、税理士だからといって皆がなんでも知っているわけではありません。
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