この記事の目次
はじめに
こんにちは、お金のよろず屋管理人のうーざんです。
本日は銀行借り入れの「金利」の決め方についてお話したいと思います。
ちなみに消費性ローン、要するに個人での住宅ローンや自動車ローン、教育ローンなどは基本的に「パッケージ商品」といわれ、
この年収(所得)でこの借入額ならこの金利
というように取引条件で自動的に金利が決まってしまい、交渉の余地はありませんので今回の記事ではお話しません。
ただし、交渉というよりは銀行が定める一定の取引(クレジットカードの作成、給与振込、カードローン、投資信託などの購入etc)をセットすれば金利が安くなることはあります。
今回は様々な条件が絡み合って決まる法人融資における「金利」の仕組みと、皆さんが最も気になるところであろう「交渉の余地」について元銀行員である筆者が解説していきます。
金利は交渉で安くなる
いきなり結論を言ってしまいますが、法人融資においては金利は十分に交渉の余地があり、当初銀行が提示した条件よりも安くなる可能性は十分にあります。
かくいう筆者も、銀行員時代に銀行が多数ひしめく超激戦区のマーケットで仕事をしていたこともありますので、何度も提示した金利から「まけさせられた」(当時としては苦い)思い出があります。
通常商売をやっていれば、他の業者からも見積もりを取る「相見積もり」はごく当たり前に皆さん行っていると思います。
いち消費者の立場としても、引っ越しに家電の購入、はたまた日常のスーパーでの買い物までごく自然に他店と比較して、時には「まけて」と交渉したりしながら条件の良いところから商品やサービスを買っているのではないでしょうか。
ですが、なぜか銀行取引となると「相見積もり」や、交渉といったことを忘れてしまう方が多いようです。
そもそも銀行を辞めた身である今の私が、お客様にそのことを指摘すると
「え、交渉なんてしていいの?」
「銀行さんがいう条件が絶対じゃないの?」
などと聞かれたりします。
答えはもちろん「イエス」、交渉はできます。むしろ交渉しないと勿体ないです。
でももちろん銀行だって商売です。
交渉の仕方を間違えると、借入ができないどころか今後の取引関係に重大な影響を与えてしまいかねません。
交渉には「タイミング」と「方法」が重要になってきます。
以下では銀行が金利をまけてくれやすい「タイミング」と「交渉方法」について解説していきます。
が、その前に少しだけ金利が決まる仕組みについてお話しておきます。
法人融資の金利はどうやって決まる?
法人融資の金利は、一応その企業の決算書の内容などに基づく「信用格付(銀行が勝手につけるその会社の通信簿のようなもの)」や、融資期間・金額などの条件によって銀行内部の一定のルールに基づき決定されます。
しかし、実際はここに色々と「政治的判断」が加わることになるため、最終的にはルールはほとんど
「あってないようなもの」
です。
だからこそ、色々と交渉の余地があるのです。
では、今度こそ、以下で具体的な交渉しやすい「タイミング」と「方法」についてお話していきます。
決算月が狙い目!
まずは「タイミング」のお話です。
銀行が最も借入をして欲しいと思っているタイミングはいつかご存知ですか?
それは「9月」と「3月」になります。
スーパーや電器屋さんなどの小売店で、「決算セール」というような広告を見たことはないでしょうか?
その会社の「決算月」はその会社の事業年度の成績が決まる月であり、非常に重要な月です。
特に上場企業にとっては、「経営計画」というノルマ達成のため最後の追い込みの月になります。
したがって、「決算セール」などの形でお客さんを集めて最後の追い込みをかけるわけです。
実は銀行にも追い込みの月があり、
それが「9月」と「3月」なのです。
決算が2回あるのは中間決算(9月)と本決算(3月)でノルマの期間が区切られているからです。
9月と3月はすべての銀行員が胃潰瘍になるほど胃を悪くします。かくいう私も9月と3月は常に胃痛に悩まされていました。
銀行というのは支店単位でノルマが与えられており、このノルマ達成度合で課長以上の役職者の評価査定や(一般行員の評価にも少しは影響があります)、ボーナスの額まで決まってしまうのです。
ですからドサ周りの平行員はもちろん、支店長まで目が血走りノルマ達成に躍起になっている月が「9月」と「3月」なのです。
スミマセン、嫌な思い出がよぎりすぎてつい銀行のノルマの恐ろしさの話に花を咲かせすぎました。
とにかく
「9月」と「3月」に持ち込まれた融資案件は、なんとか月末までに実行したいという下心もあり、条件面の交渉をしやすくなります。
借入の相談をする際にはこの「9月」と「3月」にかかるようにすると話がスムーズにいきやすいですよ。
また、近年ではお金がいらなくても銀行からお願いされて付き合うこともあるという企業の方もいらっしゃるかと思います。
その場合にもどうせ借りるのなら「9月」と「3月」に借入すると、銀行により恩を売れることになりますので意識してみてください。
相見積もりをとる
ビジネスでは「相見積もり」を取ることによって、値段はもちろん様々な面で取引条件をこちらに有利にすることができます。
ライバルの存在があることで、銀行間で勝手に条件を競い合ってくれます。
特に近年は金融緩和で銀行はカネ余りです。
借入してもらえるのなら、金利は多少ディスカウントしても・・・
というケースもよくみられます。
実は「昔からうちは〇〇銀行一本だよ」というようなお客様は銀行にとってはかなりおいしいお客様です。
「言い値」の取引になりやすいからです。
金利を下げたかったらまずは取引行を増やすことを検討しましょう。
すでに複数行と取引している場合でも、新しい取引行を入れるだけで取引が活性化され既存の銀行も今までより良い条件を提示してくることもあります。
「付き合いの長さ」というのも大事ですが、銀行側が必ずしもそれを大事にしてくれるとは限りません。
むしろひとつの銀行に融資が集中することは、その銀行の融資態度が変化した場合経営のリスクにもなりかねません。
銀行取引も適度に分散されることをオススメします。
被仕向けのセット
続いては、被仕向けをセット、もしくは増やすことで金利引き下げを狙う方法です。
「被仕向け」とは、要するに取引先から自社の口座に入金になるお金のことです。
銀行にとって、口座の入金がみえることは与信管理上非常に好ましいことです。
- どんな取引先から
- いつ
- どれくらいのお金が
入ってくるのかをいつでも見られるとその会社の「商売」の内容がより具体的につかめるため安心感があるのです。
それに入金がたくさんある口座は、利便性から支払にも使われるようになっていくことが多くなり、結果的に商売のお金の流れがより具体的に見えるようになってきます。
決算書はその気になればいかようにも「お化粧」できます。
しかしお金の流れをみれば商売のより深いところが理解できるため、多少金利を下げてでも銀行としてはこの「被仕向け」を欲します。
ですが意外とこのことを理解されていない経営者さんは多い気がします。
借入をたくさんしている銀行と、入金がたくさんある銀行は全然別。
下手をすると、入金や支払口座は会社の最寄りの銀行にしているけど、その銀行とは融資の取引はまったくない
なんてケースもしばしばあります。
このような場合には、入金口座を融資取引銀行に変えることを持ち掛け、それと同時に金利交渉をしてみるとうまくいきやすいのでオススメです。
代表者個人の取引を増やす(始める)
法人の取引はあまり動かせないけど、なんとか金利を安くしたい!
という場合にはこの方法もオススメです。
銀行は「代表者(オーナー)」と「会社」を一体でみて管理しています。
そのため代表者個人の定期預金があったり、住宅ローンをその銀行で借りていたり、あるいは銀行で保険や投資信託などの取引がある等の場合、これらが会社への取引にもいい影響を与えることがあります。
ですから、代表者個人の取引をきっかけに法人の金利交渉をもちかけるとうまくいきやすくなります。
オススメは個人の節税メリットも享受できる「iDeCo(イデコ)」あたりがいいと思います。
今銀行でもかなり力を入れている分野ですので、交渉の大きな武器となり得ますよ。
「iDeCo(イデコ)」については、こちらの記事で詳しく解説していますのでこちらも是非あわせてご確認ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
銀行も商売ですし、
他の銀行で借入されるくらいなら自分のところで借入して欲しい
という思いはあります。
この辺りは、銀行にもメリットがあるよう本記事でご紹介した「タイミング」と「方法」をうまく活用して交渉してみてください。
間違っても高圧的な交渉になってはいけません。
互いのメリットを強調して、銀行とも「Win-Win」の関係が築けるよううまくお付き合いしていただければと思います。
最後までお付き合いありがとうございました。
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