こんにちは、お金のよろず屋管理人のうーざんです。
今回は基本的に、
- どんな会社でも使えて
- 従業員も
- 会社も
- 節税になる
というなんともおトクな「通勤手当」という制度についてご紹介したいと思います。
本記事を読むと、
- そもそも何で「通勤手当」を支給すると節税になるの?
- 「通勤手当」支給の上限はあるの?
- 「通勤手当」支給で注意すべき点は?
といった内容について理解できます。
それでは早速みていきたいと思います。
この記事の目次
「通勤手当」を支給するとなぜ「節税」できるのか?
「通勤手当」を支給すると、
支給した「会社」も、
支給された「従業員」も、
どちらも「節税」になります。
以下でその理由を解説します。
後ほど解説しますが、「通勤手当」の支給額には自宅との距離などに応じて一定の上限額が設定されています。
上限を超える部分については、名目が「通勤手当」として支給されたものであっても「節税」にはなりませんのでご注意ください。
通勤手当を支給すると「会社」が節税になる理由
「通勤手当」を支給すると「会社」が節税になる理由は、
ズバリ「消費税」が安くなるからです。
これは従業員さんに支給する給料(通勤手当込み)の額が、通勤手当支給前と変わらないという前提のお話です。
もしも従来の給料に「上乗せして」通勤手当を支給すれば、当然ですが「法人税」も安くなりますよ。
下記の事例を見てみましょう。
- 従業員10名
- 給与支給額(各種控除前)は、10名合計で2,500,000円/月
- 1人に1万円/月ずつ「通勤手当」を支給(給料を1万円下げて、代わりに通勤手当として1万円を支給する)
この場合1年間で会社の納める消費税額は、
約11万円安くなります。
なぜ消費税が安くなるのでしょうか?
それは従業員に一定の「通勤手当」を支給した場合、その金額は経理上「給与」ではなく、「旅費交通費」などの科目で処理することになるためです。
「通勤」というのも業務の一部です。
社用車で通勤している場合、当然社用車ですからガソリン代などは会社持ちです。
これと同じ理屈で、マイカー通勤した場合には一度従業員が立て替えたガソリン代などの経費を、後から会社が精算する
という考え方で支給するのが「通勤手当」になります。
また出張などで利用する公共交通機関の費用は、当然会社持ちですよね。
これと同じ理屈で、公共交通機関を利用して通勤した場合には一度従業員が立て替えた乗車賃などを、後から会社が精算する
という考え方で支給するのが「通勤手当」になります。
だから「給与」ではなく、会社が負担すべき交通費の一部の立替精算ということで、「旅費交通費」などの科目で処理するのです。
ここまででもうお分かりの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「給与」では認められない「仕入税額控除」が、「旅費交通費」であれば認められるため、
結果的に同額を従業員に支給した場合でも、
消費税が安くなるのです。
「仕入税額控除」というのは、売上などで会社が預かった消費税から控除できる消費税のことです。
「控除額」が多くなれば消費税の納税額が少なくなるため、「通勤手当」を支給すると消費税が安くなり「節税」になるのです。
尚、消費税の仕組みについてはこちらの記事で詳しく解説していますので、ここまで読んで理屈がイマイチ理解できなかったという方は、
是非こちらの記事もあわせてご確認ください。
通勤手当を支給すると「従業員」が節税になる理由
続いては、通勤手当を支給すると「従業員」が節税になる理由です。
先ほどの「会社」が節税になる理由でなんとなく察しがついた方もいらっしゃるかもしれません。
従業員さんはズバリ「所得税」と「住民税」が安くなります。
先ほどと同じように、支給総額25万円のうち、1万円だけを「通勤手当」とした場合、
少ない人で年間18,000円、多い人で年間66,000円ほどの節税になります。
金額に差があるのは、個人の場合は所得金額に応じてそれぞれ税率が違うためです(超過累進税率制度といいます)。
ちなみに個人の場合も会社が節税になる理由と同様で、「通勤手当」として支給した額は「給与」ではないため(ただし一定の要件を満たす額まで)、
「所得税」や「住民税」の対象とならないので、税金が安くなるのです。
「通勤手当」支給の上限は?
①マイカー・自転車通勤の場合
片道の通勤距離 | 1か月当たりの限度額 |
---|---|
2キロメートル未満 | (全額課税=支給できません) |
2キロメートル以上10キロメートル未満 | 4,200円 |
10キロメートル以上15キロメートル未満 | 7,100円 |
15キロメートル以上25キロメートル未満 | 12,900円 |
25キロメートル以上35キロメートル未満 | 18,700円 |
35キロメートル以上45キロメートル未満 | 24,400円 |
45キロメートル以上55キロメートル未満 | 28,000円 |
55キロメートル以上 | 31,600円 |
このように「マイカー・自転車通勤」の場合の通勤手当は、自宅と職場との距離に応じて上限額が決められています。
表の一番上にある通り「2キロ未満」の場合は、通勤手当の支給ができません(してもいいですが名目に関わらず「給与」として取扱われるため「節税」メリットは享受できません)。
②電車・バス通勤の場合
電車・バスのみを利用して通勤している場合
最も合理的かつ経済的な経路及び方法で通勤した場合の、通勤定期などの実費相当額が限度額となります。
「最も合理的かつ経済的」とは、
例えばグリーン車を利用した場合などのグリーン車料金や、不必要に遠回りをした場合などを除くということです。
普通にスマホなどで検索した乗換案内に出てくるような経路であれば、まずは問題ないと考えてよいでしょう。
遠方からの通勤などの場合に、「新幹線」などを利用することがありますが、こうした場合の新幹線の定期代なども「最も合理的かつ経済的」な方法に含まれます。
ただしどのような場合であっても、1か月あたりの金額が15万円を超える場合には15万円が上限額となりますのでご注意ください。
電車・バスとマイカー・自転車を組み合わせて通勤している場合
この場合は、
- マイカー・自転車通勤の場合の上限額
- 電車・バス利用で「最も合理的かつ経済的」な方法・経路の通勤定期の額
の合計額が上限となります。
ただしこの場合にも、1か月あたりの金額が15万円を超える場合には15万円が上限額となりますのでご注意ください。
「通勤手当」支給で注意すべき点は?
「上限」を超えて支給しても「仕入税額控除」は認められる
従業員個人では、「所得税」が非課税となる額には距離ごとに応じたものや、最高でも15万円という「上限額」が設定されています。
一方でこうした上限を超えて支給したものでも、消費税の「仕入税額控除(課税仕入れ)」は認められることになります。
もちろん支給した金額が通勤に要する費用にあてられている前提ですが。
通勤費用にあてられていないものを、名目上だけ「通勤手当」として支給した場合には「給与」として課税されることになりますのでご注意ください。
社会保険や雇用保険料の計算の対象には含める
「通勤手当」は一定額までであれば、「給与」とはならず「所得税」や「住民税」の対象から外れます。
しかしこれはあくまでも「税法(所得税法)」でのお話。
厚生労働省が管轄する「社会保険」や「労働保険(失業保険・労災保険)」においては、「通勤手当」は金額によらずすべて含めて計算することになります。
財務省が管轄する「税金」と厚生労働省が管轄する「社会保険」「労働保険」でそれぞれ取扱いが異なるので注意が必要です。
まとめ
- 通勤手当を支給すると「会社」は消費税が安くなる
- 通勤手当を支給すると「従業員」は所得税・住民税が安くなる
- 通勤手当の支給には「上限」がある
- 「上限」を超えても消費税は安くなる(従業員の所得税・住民税の対象にはなる)
- 「通勤手当」は「社会保険」や「労働保険」の算定には含めて計算する必要がある
「通勤手当」を賢くつかって「会社」も「従業員」もダブルで節税しちゃいましょう!
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