社会保険料の仕組みとは【コロナ在宅で社会保険料が安くなる?】

こんにちは、お金のよろず屋管理人のうーざんです。

新型コロナウイルスの影響で在宅ワークをされている方が増えているのではないでしょうか。

大手旅行会社のHISではほとんどの社員を自宅待機(在宅ワークではない)にしたうえで、給与は全額保障するという措置を取っているようです。

もちろんこのようなことは本来あってはならないことですし、会社としても苦渋の決断だったことと思います。

しかしそんなときに筆者はふと思いました。

「でもこれで次回の更新で社会保険料は安くなりそうだなぁ…」

と。

ちなみに筆者はHISの社員ではありませんよ。

そんなわけで今回は意外と知らない人も多い「社会保険料決定の仕組み」についてお話していきたいと思います。

社会保険料は毎年各人の収入に応じて見直しがかけられ、原則として1年間は固定されます。

問題は「いつの収入」をベースにするかということでして、この仕組みを知っていると、

同じ年収であっても、他の人より社会保険料が安くなる

かもしれません。

それでは早速「社会保険料決定の仕組み」についてみていきましょう。

この記事の目次

社会保険料の金額はいつから変わる?

社会保険料は毎年見直しされます。

給料から勝手に引かれているため、漠然と「けっこう引かれてるなぁ」と思っているくらいであまり金額を注意して見ていない、という方もいるのではないでしょうか。

社会保険料は毎年9月分(多くの方は10月の給与から引かれる分)から変更されます。

社会保険料は多くの会社の場合、当月分を翌月給与から引きますので

9月分の社会保険料から変更=10月支払の給与控除分から変更

ということになります。

なかには当月分を当月給与から引くという会社もありますので、その場合には9月支払の給与控除から変更になります。

社会保険料はいつの収入を基準に決まる?

では毎年9月分から変更される社会保険料ですが、いつの収入を基準に決まるのでしょうか?

答えは

4月から6月分までの3か月分の給与の平均額で決定されます。

この給与の額には「残業代」「各種手当」なども含まれます。

この場合注意すべき点としては、

一定の要件のもと支給される「通勤手当」については「所得税は非課税」となっていますが、社会保険料算定の対象となる「収入」には含める

という点です。

税金の考え方では一定の要件を満たす通勤手当については「実費弁償に近い性質のもの」として、所得税を課さないこととしています。

これに対して社会保険料の算定においては、「通勤手当」も含めた金額で計算することとしており、ここに「財務省管轄の税金」と「厚生労働省管轄の社会保険料」で縦割り行政による矛盾が発生しています。

とはいえルールはルールですので、これは仕方ありません。

それより重要な点は、「残業代」も含めて計算するという点です。

つまり4月から6月の残業は可能な限り少なくすることで1年間の社会保険料の額を抑えることが可能になります。

具体的には、

4月から6月の給与平均額が24万円の場合と25万円の場合で、

年間の社会保険料額は33,804円の差がでます。

3か月の給与が月平均1万円違うだけで、年間でこれだけの差がでます。

3か月平均が24万円と26万円の場合だと、

年間の社会保険料は67,608円の差がでます。

月1万円平均程度であれば、残業6~7時間程度に相当する残業代です。

これくらいであれば何とかコントロール可能なのではないでしょうか?

4月から6月はこのことを意識してなるべく早めに仕事を切り上げて帰ることで、年間の手取り給与を数万円アップさせることができます。

シミュレーションの社会保険料は東京都在住の40歳未満の会社員として計算しています(お住まいの都道府県や介護保険の被保険者=40歳以上かどうかで多少変動しますが大きく変わることはありません)

尚、各種の保険料率は令和2年4月現在の料率で計算しています

賞与の社会保険料は毎月の給与とは別に決められる

賞与は支給されるかされないか、直前まで分からない

というのが本来です。会社の業績や個人の評価次第で支給される金額も変動します。

そのため賞与の社会保険料は、支給額に応じて支給の都度決定される仕組みになっています。

具体的には

賞与の額に健康保険の料率(東京都40歳未満の場合9.87%)と、厚生年金の料率(18.30%)を掛けて算出します。

詳しくは下記の具体例をご覧ください。

1回の賞与が50万円の場合

東京都の会社員40歳未満の場合で試算

  • 500,000 × 9.87%  = 49,350(健康保険料)
  • 500,000 × 18.30% = 91,500(厚生年金)

給与から引かれる社会保険料は、

49,350円 + 91,500円 = 140,850円

上記のように賞与額に応じて同じ料率を掛けて計算しますので、こちらでコントロールするということは不可能です。

まとめ

社会保険料の仕組み
  1.  毎年4月~6月の3か月の平均給与で1年分の控除金額が決まる
  2.  給与の額には「通勤手当」や「残業手当」などの各種手当も含める
  3.  社会保険料の変更月は9月分(多くの会社では10月支給分の給与控除分)から
  4.  賞与の社会保険料は、賞与の額に一定の率を掛けて算出(約15%
  5.  4月~6月の残業を控えると、社会保険料が年間で3万~6万円程度抑えられる!(※給与の額が大きい場合にはもっと差がつくこともあります。また支払う保険料が少ない分、将来の受取年金額が少し減ってしまう可能性もあります)

このように4月から6月の給与が低く抑えられると、年間の社会保険料が安くなるため手取りを増やすことが可能になります。

もちろん仕事量によってはコントロールが難しい場合もあるでしょうが、3か月平均で1万円減らせただけでも年間では数万円の手取りアップに繋がります(残業を減らすというより4月から6月の残業を減らして7月以降にシフトするという前提ですが)。

こうした仕組みを知っているのと知らないのとでは、同じ年収でも手取りに差が出てきます。

制度は流されるだけでなく仕組みを知って、うまく活用していきましょう!

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うーざん
旧帝国大学の経済学部を卒業後、大手地方銀行に就職。法人融資、個人への資産運用アドバイス、相続対策等の業務に従事。 より顧客の近くで仕事をしたいと一念発起し銀行を退職。会計事務所に就職し、お金にまつわる様々な顧客の悩み解決に向け日々活動している。 またファイナンシャルプランナー資格と保険販売資格も保有しており、顧客の保険見直しなどの悩み相談にも乗っている。