こんにちは、お金のよろず屋管理人のうーざんです。
今日も新人経理のさきこちゃんが、何か悩んでいるようです。

なるほど。前回は「オーソドックスな給与仕訳」について勉強したけど、今回は少し変則的なパターンの仕訳についてもみていこうか。
といっても、従業員さんへの「貸付金」があるケースや、「通勤手当」を支給しているケースというのはどこの企業でもよくあることだから、きちんと押さえておいた方がいいよ。

はーい!
それではうーざん先生、さっそくよろしくお願いします!
基本的な給料の仕訳方法については下記の記事で詳しく解説していますので、こちらもあわせてご確認ください。
この記事の目次
給与の仕訳方法
従業員への貸付金があるケース
<貸付をする際の仕訳(給料と一緒に振込する場合)>
給料 / 普通預金(または現金)
貸付金 / 普通預金(または諸口)
<給料の支払時に貸付の返済を受ける(給料から貸付を控除する)場合>
- 給料の振込額(または現金支払額)2,150,000円
- 社会保険料(健康保険料+厚生年金+雇用保険)の合計額450,000円
- 所得税の合計額150,000円
- 住民税の合計額200,000円
- 貸付金の返済額 50,000円
- 給料の総支給額(各種控除前の金額)の合計額3,000,000円
この場合の仕訳は、
給料 / 普通預金(または現金) 2,150,000
給料(または諸口) / 法定福利費 450,000
給料(または諸口) / 預り金 150,000
給料(または諸口) / 預り金 200,000
給料(または諸口) / 貸付金 50,000
となります。

あー!前回勉強した通り、
ポイントは
- 給料の借方(左側)の合計額が支給総額(控除前の金額)と同額になっていることを確認する
- 給料から控除されるものは必ず貸方(右側)にくる
でしたね!
だから「貸付金の返済」も貸方(右側)にくるんですね、うーざん先生!

その通りだね。
このポイントさえ押さえておけば、控除項目が「貸付金」以外でも、いくつ増えても大丈夫だよ。
通勤手当の支給がある場合
- 給料の振込額(または現金支払額)2,150,000円、ただし内150,000円が通勤手当
- 社会保険料(健康保険料+厚生年金+雇用保険)の合計額450,000円
- 所得税の合計額150,000円
- 住民税の合計額250,000円
- 給料の総支給額(各種控除前の金額)の合計額3,000,000円
- 通勤手当の支給額の合計額150,000円
この場合の仕訳は、
給料 / 普通預金(または現金) 2,000,000
旅費交通費 / 普通預金(または諸口) 150,000
給料(または諸口) / 法定福利費 450,000
給料(または諸口) / 預り金 150,000
給料(または諸口) / 預り金 250,000
となります。

あれ?初めて借方(左側)に給料以外の科目が来ましたね。
通勤手当は給料とは別の科目を使うんですか?

良いところに気が付いたね。
そうなんだよ。通勤手当は「基本的には」給料とはならないので、旅費交通費などの科目を使うことになるよ。

え?
給料じゃないってことは、もしかして通勤手当には「所得税」もかからないってことですか?

すごい!冴えてるねさきこちゃん。
そうなんだよ、「一定の要件を満たす」通勤手当は給料とはならないので、所得税の対象にもならないんだ。
考え方としては、会社が払う「旅費交通費」を従業員が立て替えて払ってくれたので、給料の支払時に立替分を精算したと考えると分かりやすいよね。
こういう費用のことを「実費弁償(じっぴべんしょう)」というよ。

なるほどー!
ということは、この通勤手当は元々会社が払うべき旅費交通費ということで、
消費税の取扱いも「課税仕入れ」をとってもいいんでしょうか?

うん、その取扱いで大丈夫だよ。
ただし、通勤手当には「税務上の要件」が定められていて、公共交通機関を用いる場合には「通勤定期」などの実費相当額、
あるいは自動車通勤などであれば、自宅と会社の距離に応じた上限額が定められているから気をつけないといけないね。
この金額を超えると、名目は「通勤手当」などとして支給していたとしても、給与として所得税の対象となるし、会社としても「旅費交通費」としては処理できないことに注意が必要だよ。
少し仕訳の話からはそれてしまいましたが、もしも新たに「通勤手当」を支給する場合には、税務上の要件を充足する内容となっているかを、
事前に顧問税理士に相談されることをオススメします。
「通勤手当」の詳細については、別記事で詳しく解説予定ですので、そちらも是非ご覧ください。
まとめ

うーざん先生、私分かりました!

じゃあ今回のポイントを言ってみて、さきこちゃん。

えーっと…
- 「貸付金」などの給料から控除されるものは必ず貸方(右側)にくる
- 逆に「通勤手当」のように、給料以外に支給するものは借方(左側)にくる
- 「通勤手当」は給料とは分けて「旅費交通費」の科目を使う
- 「通勤手当」には「税務上の要件」があるので、詳しくは税理士さんに確認する
ですね!

その通り!バッチリだね!

はい!ありがとうございます!!
うーざん先生、給料の基本的な仕訳は理解できたんですけど、
従業員さんへの「貸付金」がある場合や、
「通勤手当」を支給している場合の仕訳でつまづいちゃって…