この記事の目次
はじめに
こんにちは、お金のよろず屋管理人のうーざんです。
(勝手に)「半沢直樹2コラボ連載企画」も第7弾となりました。
今回は『半沢直樹2』のなかでひとつのテーマとなっている「バブル入行組」と「ロスジェネ世代」の実態についてお話していきたいと思います。
あまりお話すると原作を読んでいない方には「ネタバレ」になってしまうので多くは言えませんが、
半沢たちが属する「バブル入行組」に対して強い不満を抱いているその少し下の世代の「ロスジェネ世代」との対比が、今回の『半沢直樹2』で描かれることになります。
こうした世代間のギャップからくる対立構造は、おそらくいつの世でもあるのではないでしょうか。
間近で実際に各世代に触れた印象として、現実の銀行内でも「バブル世代」vs「ロスジェネ世代」という構図は確かにあったと感じます。
そんなわけで今回は、そんな銀行内における「バブル入行組」と「ロスジェネ世代」のリアルについてお話していきます。
銀行における「バブル入行組」とは
「バブル世代」というと、世間一般論としては「好景気に大量採用されたあまり働かないけど高級取りな人たち」といったイメージで語られることが多いように感じます(一般論であって筆者個人の見解ではありませんので悪しからず!)。
そして『半沢直樹2』の原作でもそのような描かれ方をしています。
筆者の銀行員時代を振り返ってみると、確かに「この人なんで支店長になれたんだろう…」と感じざるを得ない方もチラホラいました(もちろんなかには優秀な方もいましたが)。
そしてその世代はなぜか「もれなく一定以上まで出世している」というのも特徴でした。
その下の世代をみると支店長はおろか、課長クラス(銀行では支店長代理などといわれるポスト)にすらなれない人もけっこうな数いるというのに、「バブル入行組」に関しては人数が多い割に全員がちゃんとポストを貰っている(もちろんそこに至る前に相当数退職はしていましたが)という感じでした。
やはり世間一般でいう「好景気に大量採用されたあまり働かないけど高級取りな人たち」というのはあながち間違いではないのかもしれません。
銀行における「ロスジェネ世代」とは
それでは一方の「ロスジェネ世代」はどうだったかというと、
採用数はメチャクチャ少なかったため人数は少ないがどの人もメチャクチャ優秀で、全員が銀行の中枢にいる
というイメージでした。
私がこれまでの社会人生活で出会って一番尊敬している上司も、この「ロスジェネ世代」の方でした。
「ロスジェネ世代」というのは、バブル崩壊後に銀行に入社したひとたちで不景気のため採用数が極めて少なかった世代です。
採用を絞ったなかでも銀行としてはどうしても確保しておきたいと思った、いわば「少数精鋭」の人たちなので、銀行全体でみてもとても優秀な方ばかりでした。
一方で仕事ができるにも関わらず「バブル入行組」の支店長のもとで働くため、理不尽な指示で思うような仕事ができずに気の毒だな
というのが傍からみていての印象でした。
ただやはり優秀なので、「ロスジェネ世代」はどんどん出世して40代の前半で本部の中枢や支店長として活躍していました。
私が尊敬していた方も40代前半にして融資部の副部長(普通の支店の支店長よりは全然偉いです)という異例の速さでの出世を遂げて活躍されていました。
他にも数名の「ロスジェネ世代」の方と働かせてもらいましたが、どの方も飛びぬけて優秀で支店のエースとして活躍していました。
なぜ“バブル世代は怠慢”で“ロスジェネ世代は超優秀”なのか
なぜ銀行では“バブル世代は怠慢”で、“ロスジェネ世代は超優秀”というイメージになってしまうのでしょうか?
これは別に
ある世代が優秀で、ある世代は優秀じゃない
というわけではありません。当然ですよね。生まれた年が違うだけで全員が優秀だったり、そうでなかったりするわけがありません。
皆さんも聞いたことがあるかもしれませんが、古代エジプトの壁画に「近頃の若者は~」と書かれていたというお話です。
そうです、実は4千年も昔からこうした「世代論」はあったのです。
年配の人が「近頃の若い連中は~」といえば、若者は「まったくオジサンたちは頭が堅くて~」というように、バブル世代とロスジェネ世代に限らず、いつの時代でもこうした構図は変わらないようです。
一方で銀行内では確かに世間でいわれてるような(あるいは半沢直樹の世界で描かれているような)、「バブル世代」vs「ロスジェネ世代」の構図は確かに存在したのは筆者も感じた通りです。
これはどうしてなのでしょうか?
理由は単純で、好況時は採用数が多く企業間の優良人材の奪い合いも激しいため「各企業に人材がばらけやすい」一方で、
不況時には各社が採用を絞り込む一方で優秀な人材がより安定的な職場を求めたためかつての銀行のような「入れば一生安泰」とされた業界に優秀な人材が固まったためでしょう。
一方で採用数が絞られた結果、その世代では就職できなかった人も大量に生まれ「就職氷河期世代」として今も政府によって救済策が検討されるほど職にあぶれた人が多くなっています。
「バブル世代」は就職希望者のほとんどが就職できた一方で、企業側からすると他社にも人材が流れるなかで採用計画数(好景気なので多い)を達成するため必然的に間口を広く(人材の質を多少落とす)せざるを得ないという事情があったのでしょう。
このように世代全体が優秀というよりは、単に労働市場が「売り手」か「買い手」かということによってその企業における人材の平均的な質が上下するということが原因といえるのではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「バブル世代」vs「ロスジェネ世代」は確かに現実の銀行でも起こっている事象でした。
ただしそれは世代全体での優劣というわけではなく、採用数の絶対数からくる必然的な人材の質の濃淡の違いによるものといえそうです。
もちろん「バブル世代」でも半沢のように優秀で猛烈に仕事をしている人もたくさんいますし、ロスジェネ世代でも当然ながら誰もが優秀というわけではないでしょう。
現実の世界はさておき、ドラマの世界では「バブル世代」vs「ロスジェネ世代」の構図がスパイスとなり、さらにドラマを盛り上げてくれるはずです。
早くこの騒動が一段落し放送開始できるのを楽しみに待ちましょう。
次回の(勝手に)「半沢直樹2コラボ連載企画」は第8弾「銀行員は1円でも合わないと帰れない伝説について」お話していきたいと思います。
お楽しみに!
以上、最後までお付き合いありがとうございました。
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