【半沢直樹2コラボ連載その②】金融庁検査の実態パート2<元銀行員のウラ話>

こんにちは、お金のよろず屋管理人のうーざんです。

ドラマ「半沢直樹」シリーズの続編が7年振りに放送されるとのことで、(勝手に)コラボ企画としてお送りしている「半沢直樹2コラボ連載」ですが、

本日は第2回として「金融庁検査の実態パート2~検査の準備編~」をお送りしたいと思います。

前回は「金融庁検査の実態パート1」として金融庁検査とはどんなことをするのかという点についてお話しました。

今回は金融庁検査の通知があってから、実際に検査が始まるまでの「壮絶な準備期間(笑)」についてお話していきたいと思います。

作品でも描かれたような

「危ない書類」を一時的に「避難」させる「疎開(そかい)」は本当に行われているのか?

など元銀行員だからこそお話できる生々しい舞台裏についてお話していきます。

銀行員にとって3大ストレスイベントのひとつに数えられる「金融庁検査」ですが、その結果次第では支店長をはじめとする支店の評価はおろか、銀行の業績まで左右しかねない重大なイベントです。

※銀行員3大ストレスイベント: ①3月の決算前 ②9月の中間決算前 ③金融庁検査

金融庁検査の概要については第1回のこちらの記事でお話していますので、まだご覧になっていない方はこちらを先にご覧くださいね。

【半沢直樹2コラボ連載その①】金融庁検査の実態パート1<元銀行員のウラ話>

検査ではどんなことを確認されるのか(第1回おさらい)

第1回のおさらいで簡単に「金融庁検査」ではどんなことを確認されるのか?

ということについて復習しておきましょう。

  • 個別の貸出先の貸出内容や取引先の「格付(債務者区分)」について精査される「与信検査(よしんけんさ)」
  • ランダム抽出でいくつかの支店の業務状況を確認される「実地検査」

という2つの検査に大別されます。

金融庁(正確には管轄の財務局)から、「いついつ検査に入りますよー」という検査の通知が入ってからこれら2つの検査に備えて「事前準備」をすることになります。

「実地検査」は完全にランダムであり、数百とある支店のなかからいくつかしか選ばれないため主に「与信検査」の準備を行うことになります。

どんな「準備」を行うのか

では具体的にどのような「準備」を行うのでしょうか。

まずは「与信検査」の対象となる貸出先の「稟議書類」や「格付書類」をすべて印刷します。

ちなみに各支店のなかでどの貸出先が「与信検査」の対象となるかは事前に金融庁から通知されます。

印刷をしたあとは、「稟議書類」などに不備がないか(書類の添付モレなど)を確認します。

近年融資関係の「稟議」などはすべて電子化されており、本部とはすべてオンラインでやり取りするのですが、この場合に書類の添付モレなど形式的なミスが発生することがあります。

オンライン端末から過去の融資書類を印刷するときは、この電子稟議を基に印刷するため添付漏れがあると書類がすべて印刷されません。そのため印刷したうえでこうした書類のモレなどがないかを確認するのです。

こうした形式的な書類の不備の確認が終わると、次は

稟議条件に違反した状態で融資が行われていないか

などの実態面の不備を確認していく作業に入ります。

「稟議条件に違反した状態」とは、融資などの稟議の際に「不動産担保設定のこと」や「ピーク与信額を当面本件限度とする」、あるいは「3か月毎の業績モニタリングのこと」など

融資実行にあたって様々な「条件」がつくことがあります。

こうした与信管理上の条件に違反した状態で融資が行われていないか、ということを確認していくのが「実態面での不備確認」の作業になります。

融資における「条件」というのは当然、与信管理上必要であるからこそそのような条件をつけているわけであり、それが守られていない状態というのは、

その銀行の与信管理に重大な問題がある

ということになってしまいます。

そのため、こうした稟議条件違反などがないかを過去の稟議と現在の取引状況を確認しながら潰していくのです。

マル秘書類を避難させる「疎開」はあるのか?

さて、「半沢直樹」のドラマでは金融庁に見られると都合が悪い書類を、一時的に書庫などに「避難(笑)」させる「疎開」についての描写がありましたね。

こうしたことは、現実にあるのでしょうか?それともフィクションなのでしょうか?

結論からいうと、「昔はあった」そうです(笑)

こうした書類の隠ぺいは「検査忌避(けんさきひ)」といって重大な検査妨害にあたり、「業務改善命令」や「業務停止命令」などの行政処分に直結します。また、悪質な場合には刑事告訴の対象にもなり懲役刑や罰金刑などが課されます。

そのため今はさすがに行われていないと思いますが、過去には融資課長や支店長の自宅や社宅などにヤバイ書類を「一時避難」させるといったことも行われていたのだそうです。

「半沢直樹」の原作者である池井戸潤氏も元は銀行員(合併前の三菱銀行)ですので、やはり過去にはそうしたことがあったのかもしれませんね。

過去にはUFJ銀行(東京三菱銀行との合併前)や、日本振興銀行などが「検査忌避」行為によって行政処分や刑事告訴されています。

また近年ではアパートローンに絡む不正融資問題のあったスルガ銀行で、問題の融資を多く担当していた職員を検査直前に解雇した行為が「検査忌避にあたる可能性がある」として、

金融庁から警告を受けたことがニュースになりました。

いずれにしても今は「資料隠し」などの露骨な「疎開」は行われていませんが、少なくとも10年前くらいまではそうしたこともあったのだと思われます(日本振興銀行が検査忌避で刑事告訴されたのは2010年です)。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

銀行の業績やその後の人事にまで影響しかねない「金融庁検査」ですから、事前準備も大変なものがあります。

準備期間は支店全体がピリピリしたムードで、普段はさっさと帰る支店長なども連日連夜遅くまで打合せをしていました(与信検査での答弁準備)。

次回は「その③“銀行員は人事が全て”は本当か」についてお送りいたしますのでお楽しみに!

以上、最後までお付き合いありがとうございました。

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ABOUT US

旧帝国大学の経済学部を卒業後、大手地方銀行に就職。法人融資、個人への資産運用アドバイス、相続対策等の業務に従事。 より顧客の近くで仕事をしたいと一念発起し銀行を退職。会計事務所に就職し、お金にまつわる様々な顧客の悩み解決に向け日々活動している。 またファイナンシャルプランナー資格と保険販売資格も保有しており、顧客の保険見直しなどの悩み相談にも乗っている。