この記事の目次
はじめに
こんにちは、お金のよろず屋管理人のうーざんです。
本日は相続において法律上「最低限これだけの遺産はもらえる」という
「遺留分(いりゅうぶん)」
についてお話していきたいと思います。
テレビドラマなどで親族が集まり「遺産相続」について話し合うなか、
「全財産を〇〇に譲る」
なんて遺言書が出てきて親族は慌てふためき、挙句の果てには殺人まで・・・
なんて展開はフィクションの世界のお話です。
もしもこのような「全財産を~」なんていう遺言書が出てきても、
納得しない場合は「遺留分」として最低限の取り分を分けてもらうよう主張することができます。
これは「民法」に規程されている権利ですので、どんな遺言にも勝るものです。
残された遺族で遺産を巡って争い相続ならぬ「争続(あらそうぞく)」なんてことにならないよう、予め「相続」についての正しい知識を身につけておきましょう。
尚、相続の基本について知りたいという方は、こちらの記事で詳しく解説していますのでこちらもあわせてご確認ください。
遺留分(いりゅうぶん)とは
さっそくですが、「遺留分(いりゅうぶん)」とはどのような権利なのでしょうか?
「遺留分」とは民法1028条に規定されている相続に関する規定のひとつです。
条文は以下のとおりです。
第千二十八条 兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、左の額を受ける。
一 直系尊属のみが相続人であるときは、被相続人の財産の三分の一
二 その他の場合には、被相続人の財産の二分の一
「直系尊属」というのは、実の父母や祖父母のことをいいます。
つまり、
- 被相続人(亡くなった人)の兄弟姉妹には「遺留分」はない
- 相続人が実の父母(父母がいない場合祖父母)のみの場合は、財産の3分の1
- 配偶者・子ども(子供が亡くなっている場合は孫)には、財産の2分の1
が「遺留分」として認められるということです。
ただし、「遺留分」の請求権利のある相続人全員で2分の1(もしくは3分の1)となりますので、
例えば「配偶者」と「子どもA」と「子どもB」の3名が相続人で、
「全財産を子どもBに残す」
という遺言があった場合、
「配偶者」と「子どもA」は財産の2分の1は「遺言」に従わない形で(法定相続分)で分割するように主張することができます。
その結果、
奥さん 2分の1(遺留分総額) × 奥さんの法定相続分2分の1 = 4分の1
子どもA 2分の1(遺留分総額) × 子どもAの法定相続分4分の1 = 8分の1
それぞれ上記の割合の財産を「遺留分」として「子どもB」に渡すよう請求することができます。
これが「遺留分」です。
遺留分を請求するにはどうしたらいい?
では実際に「遺留分」を渡すよう相手方に請求するにはどうしたらいいのでしょうか?
実は「遺留分」の請求方法は形式が定められておらず
相手に伝えるだけ
でOKです。
あなたは「私の遺留分を侵害しているから〇〇円を払ってね」
と伝えるだけです。方法は「口頭」でも「手紙」でも「メール」でもなんでも構いません。
ですが、相手がすんなり応じてくれない場合もありますので、通常は
「配達証明付き内容証明郵便」
という仰々しい名前の手紙を出すことになります。
要するに郵便局が
「いついつにこの内容の郵便を確かに送りましたよ」
と証明してくれる郵便のことです。
配達証明付き内容証明郵便で出しておけば、「言った・言わない」などという水掛け論になることはありません。
また、この郵便は配達された時点で相手が「受け取って内容を確認したもの」として法律上取り扱われるため、
「そんな手紙見てない」
などの言い訳も通用しなくなります。
銀行などの「債権回収」でもこの「配達証明付き内容証明郵便」が利用されています。
なんだか怖いですね(笑)
あなたの意思=遺留分を取り戻したい
ということを相手に伝えたら、後は話し合いです。
もしも話し合いで解決しないのであれば最悪は裁判になってしまいます。
が、基本的には法律で認められた権利ですので、裁判にまでなる前に円満に解決したいですね。
遺留分侵害請求権とは
2019年7月1日以降に発生した相続においては、「遺留分」の侵害に対する支払はすべて
「金銭によること」
とされました。つまり、財産の2分の1などの各人の「遺留分」相当額をお金で貰えることになったのです。
それ以前の相続では「遺留分」は財産の権利を分けてもらえる(返してもらえる)というものだったため、
例えば、
不動産1億と現金1千万円の遺産があった場合、
不動産の共有持ち分2分の1と現金500万円(遺留分が2分の1の場合)
のように分割可能な現金などの財産以外は共有持ち分として権利を得る
というものでした。
そのため財産を処分して現金化するにも相続人間で話し合いが必要となり、なかなか厄介な制度でした。
それが今回民法が改正され、「遺留分」がすべて「金銭債権(要するにおカネ)」として請求できるようになったため、使い勝手が良くなりました。
一方で、遺留分を侵害した側(財産をたくさんもらった人)にとっては、遺産の大部分が不動産だった場合などには売却して現金化することが必要になったともいえます。
遺留分侵害請求権の時効
「遺留分侵害請求権」は、自分が「遺留分」を侵害されたと知った時から
1年以内に行わないと時効で権利が消滅してしまいます。
また、遺留分侵害を知らないまま
相続開始(亡くなった日)から10年が経過した場合にも時効となります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「遺留分」とは亡くなった人に近しい人に最低限認められている権利です。
この権利を知って欲しいのは、遺産をもらう「相続人」の方よりもむしろ
「遺産」を残す側の人
です。
残された「遺族」が不要な争いをしなくてもいいように、最低限「遺留分相当額の財産」は残してあげることで「争続(あらそうぞく)」は避けられるかもしれません。
またもしも、
事業などをやっていて特定の遺族の方に財産の大部分が渡ってしまう
という可能性が高いとすれば
事前に「生命保険」などを活用して「遺留分相当額」の保険金を
事業を引き継ぐ方を受取人にした契約をしておく
ことで「遺留分相当の金銭債権」の要求をされても困らないようにしておく
ということも検討されてはいかがでしょうか。
相続では発生してからは、もちろん事前の「相続対策」が不可欠です。相続税を抑えることができるのはもちろん、亡くなった後に相続人間で揉める「争続(あらそうぞく)」を避けるためのアドバイスなども期待できます。
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