この記事の目次
はじめに
こんにちは、お金のよろず屋管理人のうーざんです。
コロナウイルスによる感染症の影響で令和1年分の確定申告の申告と納付期限が1か月延長され4月16日までとなりました。
本日は確定申告真っ只中ということで、「医療費控除」の派生形ともいえる「セルフメディケーション税制」についてお話していきたいと思います。
セルフメディケーション税制とは
「セルフメディケーション税制」とは、確定申告における医療費控除の派生形として平成29年分の確定申告から新たにできた制度になります。
制度の概要は、
“ 健康の保持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行っている方が、 自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために特定一般用医薬品等購入費(※)を支払った場合には、一定の金額の所得控除(医療費控除の特例)を受けることができます”(以上 国税庁HPより抜粋)
という制度です。
何のことかよく分かりませんね(笑)
ざっくりいうと、
健康の増進や病気の予防のために一定の取組を行っている方が、自分や家族のために薬局などで購入できる一定の医薬品を購入した場合、その購入費の一部について所得控除が受けられますよ
ということです。
これでもまだ「?」がいっぱいですよね。
一定の取組って何?
一定の医薬品って?
購入費の一部ってどうやって計算するの?いくらなの?
ご安心ください。以下でひとつずつ解説していきますね。
一定の取組とは
「セルフメディケーション税制」の適用を受けるためには、健康の保持増進や疾病の予防のための一定の取組を行っている必要があります。
この取り組みは具体的に
- 保険者(健康保険組合、市区町村国保等)が実施する健康診査【人間ドック、各種健(検)診等】
- 市区町村が健康増進事業として行う健康診査【生活保護受給者等を対象とする健康診査】
- 予防接種【定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種】
- 勤務先で実施する定期健康診断【事業主検診】
- 特定健康診査(いわゆるメタボ検診)、特定保健指導
- 市町村が健康増進事業として実施するがん検診
が該当します。
尚、これらの取組は家族ではなく「確定申告をする方本人」が行っていないといけませんのでご注意ください(医薬品の購入費用は家族分も合わせた金額が対象となります)。
「セルフメディケーション税制」の適用を受ける際には、これらの取組を行ったことを証明する書類(健診結果の通知書や予防接種の領収書など)を添付する必要がありますので保管しておきましょう。
添付する書類については、取組する内容によって異なります。
詳しくは、国税庁 取組を行ったことを明らかにする書類の具体例をご覧ください。
一定の医薬品(スイッチOTC医薬品)とは
「セルフメディケーション税制」の適用対象となる「一定の医薬品」のことを、
スイッチOTC医薬品
といいます。
OTCとは(Over The Counter、オーバー・ザ・カウンター)の略で、カウンター越しに対面で購入できるという意味であり、
「医師の処方箋なしに薬局などで購入できる医薬品」
のことをいいます。
スイッチというのは、
元々処方箋が必要だった薬を、処方箋なしで購入できるよう「スイッチ=転換」した薬ということです。
どの医薬品が対象となるかは厚生労働省で管轄し随時追加されていますが、基本的には購入したレシートを見れば対象品目に「※」や「◎」などの印がついています(印の種類には決まりはありませんのでお店によって異なりますが、レシートの下部などにどれが対象品目の印かは明記されています)。
風邪薬や胃薬、頭痛薬などはもちろん、湿布薬なども幅広く対象となっています。基本的には「サプリメント」など以外は大体対象になると思って大丈夫です。
詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
控除額の計算方法は?
控除額の計算方法はシンプルです。
対象の医薬品の年間(1月1日~12月31日)購入額合計から1万2千円を引いた金額が所得控除金額(税金計算上の経費)となります。
また控除額の上限は8万8千円までとなっています。
そのため対象医薬品の購入合計額が10万円を超えた場合には、それ以上どれだけたくさん買っても控除額は増えませんので注意が必要です。
10万円というと何か思い出しませんか?
そうです、通常の「医療費控除」は10万円を超えてからが勝負になります。
控除額は「10万円を超えた金額」になるのでしたね。
ですから、「セルフメディケーション税制」は通常の「医療費控除」と
どちらか一方の選択適用になりますのでご注意ください。
尚、従来の「医療費控除」については、こちらの記事で詳しく解説していますのでこちらもあわせてご確認ください。
セルフメディケーション税制の注意点
「セルフメディケーション税制」を適用する上での注意点は以下のとおりです。
- 「申告者本人」が健康増進や疾病予防のための一定の取組をしている必要がある
- 従来の医療費控除との選択適用である(有利な方を選んでいい)
- スイッチOTC医薬品の購入費用は従来の医療費控除でも控除対象となる
- 適用を受けるには「確定申告」が必要になる
基本的には病院代などとスイッチOTC医薬品の購入費用を合わせて10万円を大きく超える医療費を支払った場合には、従来の医療費控除の方が有利になることが多いのでその点はご留意ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「セルフメディケーション税制」は、医療費控除の補完的な位置付けの制度です。
年間の医療費控除が10万円を超えるのは多くは「入院」や「手術」など何か特別なことがあった場合です。
そうしたことがないという方でも、年間1万2千円程度の医薬品購入であれば超える方はかなりいるのではないでしょうか。
月にならせば千円以上の購入です。
健康診断や予防接種についてもかなり多くの方がふつうにやっていることだと思います。
是非ともドラッグストアなどのレシートを取っておいてみてください。税金が戻ってくるかもしれませんよ。
尚、医療費控除などの「税金が戻る(還付)」確定申告については過去5年分までならいつでも申告してOKです。
平成29年分以降の申告で適用が受けられるという方は是非とも今からでも間に合いますので確定申告してみてください。
最低でも控除額の15%相当の所得税・住民税が戻ってきます(還付金額は申告される方の所得税率によって異なりますので家族の中で最も税率の高い方で申告しましょう)。
尚、確定申告は過去分も含めてインターネット環境があれば特別なソフトを使わなくてもできます。
インターネットで確定申告を行う方法については、こちらの記事で詳しく解説していますのであわせてご確認ください。
最後までお付き合いありがとうございました。
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