この記事の目次
はじめに
こんにちは、お金のよろず屋管理人のうーざんです。
本日は、「相続対策」にうってつけの商品である「一時払い終身保険」についてお話していきたいと思います。
「一時払い終身保険」は生命保険の一種ですが、払い込んだ保険料とほぼ同額(若干多いくらい)の死亡保険金がおりてくるという商品です。
しかも「一時払い」という名前のとおり、基本的には契約時に一括で保険料を支払います。
一括で支払ってほぼ同額の保険金が返ってくるなんてなんか意味があるの?
と思いますよね。
一見なんの意味もなさそうですが、2つの利点があってこのような商品があるのです。
- 一定期間後に解約すると、支払った保険料より増えて戻ってくる積立効果(=運用)
- 生命保険の非課税枠を活用した相続税の節税効果
このうち1番目の利点は今はほとんど使えなくなってしまいました。
理由はこの長引く低金利のため、利回りが下がってしまったからです。
昔は5年間程度経過したあとに解約すれば5%~10%程度増えて戻ってくる
といった時代もあり、手堅い運用商品としてとても流行った時期もありました。
が、それも今は昔のはなしです。
問題は2番目の「相続税の節税効果」についてですね。
本日はこの部分にフォーカスしてお話していきたいと思います。
一時払い終身保険とは
「一時払い終身保険」とは、繰り返しになりますが、
一括で保険料を支払い、
亡くなった際に遺族の方が支払った保険料とほぼ同額か少し多いくらいの「死亡保険金」を受取れる
という商品です。
毎月保険料を払って、亡くなったときに何千万円などの大きな額の保険金を受取れる「定期保険」などとはまったく異なる商品です。
どちらかというと、
亡くなるまでの期間「保険会社にお金を預けておく」
イメージの商品となります。
中途解約ももちろんできますが、今は低金利時代のため
10年以内に解約すると元本割れしてしまう可能性が高いです
※正確に何年で解約すると元本割れしないかは、商品や契約年齢などによって異なりますので契約前に確認するようにしましょう
基本的にはご遺族の方に残す前提のお金でこの商品を契約すると良いでしょう。
生命保険の非課税枠とは
相続時には生命保険などで受取った「死亡保険金」なども「みなし相続財産」として課税されることになります。
尚、「みなし相続財産」についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、こちらもあわせてご確認ください。
ですが、
相続時に受取る「死亡保険金」には一定の非課税枠がもうけられているのです。
具体的には、
500万円 × 法定相続人の数
で計算される額までは相続税がかからずに受取ることができます。
例えば奥さんと子ども2人が相続人の場合、
生命保険金1,500万円までは(相続税が)非課税で受取ることができます。
ちなみにこれは全相続人で受取った生命保険金の合計額が「500万円×法定相続人の数」まで非課税ということですのでご注意ください。
上記の奥さんと子ども2人の相続人がいた場合の例では、
奥さん受取の死亡保険金1,000万円と子どもA受取の500万円と子どもB受取の500万円の
計2,000万円の死亡保険金があった場合、
2,000万円 - 1,500万円 = 500万円
には相続税がかかってきます。
この場合の非課税枠の配分は死亡保険金の受取額で按分しますので、
奥さん :1,500万円 × (1,000万円/2,000万円) = 750万円
子どもA:1,500万円 × (500万円/2,000万円) = 375万円
子どもB:同上
となります。
この非課税枠を活用するために支払った保険料がほぼそのまま戻ってくる(掛け捨てではない)「一時払い終身保険」が最適なのです。
お金を渡す相手を事前に決めておける
「一時払い終身保険」では、お金を渡す相手を事前に決めておけるという点も使い勝手の良いところです。
預貯金なども、「遺言」を残すことで指定した相手に渡すことは可能です。
しかし、「遺言」と「一時払い終身保険による受取人指定」が決定的に違うのは、
「遺留分(いりゅうぶん)」の対象となるかどうかです。
「遺留分」とは亡くなった人に近しい相続人に「最低限これだけは財産を貰える」と民法(法律)で保証された権利のことです。
例えば、
「全財産をAに譲る」というような遺言は、
A以外の相続人の遺留分を侵害しているため、A以外の人が抗議した場合には認められません。
これに対し「生命保険などの保険金」は
「受取人固有の財産」として相続の遺産分割の対象外
とされており、原則この「遺留分」の対象にはならないからです。
「配偶者」と「子どもA」と「子どもB」という3人の相続人がいた場合に、
法定相続分(法律上の遺産の分け方)では奥さんが2分の1、子どもが4分の1ずつの財産を貰えます。
遺産総額が1億円で、それ以外に子どもAは生命保険で1億2千万円を受取っているとします。
この場合でも遺産の1億円は奥さんが5千万円、子どもAとBは各2千5百万円ずつ貰えます。
そのためAは生命保険1億2千万円の分だけ多く遺産を貰うことができます。
これがもしAに渡したのが生命保険ではなく、「遺言」で定期預金1億2千万円を渡したとした場合遺産の各人の受取分は
奥さん:5千万円 子どもA:1億4千5百万円 子どもB:2千5百万円
となります。
配偶者は遺産総額の4分の1、子どもBは遺産総額の8分の1の遺留分がそれぞれあります。
配偶者の遺留分 :2億2千万円 × 1/4 = 5千5百万円
子どもBの遺留分:2億2千万円 × 1/8 = 2千7百5十万円
となるため、奥さんと子どもBは子どもAに対して
それぞれ500万円と250万円ずつ遺留分侵害請求をすることができます。
一方で生命保険の場合は、原則遺留分侵害とはならないためAはそのまま1億2千万円を受取れるのです。
例えば、
事業を引き継いでくれる子どもや、介護などで特に面倒をみてくれた子どもなどに特別に多くお金を残したい
というような場合には、このように「一時払い終身保険」で予め残しておいてあげることで遺産分割の対象から除外したかたちでスムーズにお金を渡すことが可能になります。
尚、「遺留分」についてもっと詳しく知りたいという方は、こちらの記事で詳しく解説していますのでこちらもあわせてご確認ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
低金利で「運用」手段としての魅力は薄れた「一時払い終身保険」ですが、
- 相続時の生命保険の非課税枠の活用による節税
- 「遺留分」や「遺産分割協議」の対象とならないお金を予め特定の人に残してあげられる
という2点でいまだ有効な「相続対策」の手段として活用が可能です。
ご自身の相続について考えてみるときに、ひとつのツールとしてご活用を検討されてはいかがでしょうか。
相続では発生してからは、もちろん事前の「相続対策」が不可欠です。相続税を抑えることができるのはもちろん、亡くなった後に相続人間で揉める「争続(あらそうぞく)」を避けるためのアドバイスなども期待できます。
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